コロナ就職難も怖くない? キャリア支援が分厚過ぎる「法政大学」とはどのような大学なのか

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MARCHの一角として知られる法政大学。同大は学生に対して厚いキャリア支援を行っていることで知られています。詳細について、教育ジャーナリストの中山まち子さんが解説します。

目次

大学設置は1920年4月

 法政大学(千代田区富士見)はMARCH(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)の中でも創立年が古い大学です。

法政大学・市ヶ谷キャンパス内にあるボアソナード・タワー(画像:(C)Google)

 私立大学として認可は、1920(大正9)年2月の早稲田大学(新宿区戸塚町)、慶応義塾大学(港区三田)に次いで、同年4月となっています。

 今回は都内私立大学学の中でも有数の伝統校であり東京六大学の一員でもある、キャリア支援に力を注いでいる法政大学をご紹介していきます。

手厚いサポートで就職率が高い

 本部を置く市ヶ谷には2000(平成12)年に完成した、都市型キャンパスの代表格でもある高さ122mの超高層ビルがあります。

 そのビルには、法政大学初代教頭で明治初期に日本の法整備を進めたフランス人法律家、ギュスターヴ・エミール・ボアソナード・ド・フォンタラビーにちなみ、ボアソナード・タワーという名称がつけられています。

法政大学・市ヶ谷キャンパスとその周辺の様子(画像:(C)Google)

 法政大学は近年、都心への回帰傾向を強めるとともに、学生への手厚いキャリア支援に力を入れています。2018年度卒業生を見ると、就職希望者の就職率は98.4%と高い結果を残しています(2019年4月調査時点)。なお、2018年度の来校企業は約3000社、求人件数は約1万9000件となっています。

 本部のある市ヶ谷キャンパスのほかに、多摩キャンパス(町田市相原町)と小金井キャンパス(小金井市梶野町)にもキャリアセンターを設置し、全学部で分け隔てなく就職活動を支えています。

 法政大学はMARCHのひとつとしてすでに全国的な知名度を誇っていますが、ここまで高い就職率実現につなげている背景には、早期のキャリア育成や、卒業生の力も借りるなど独自の取り組みがあります。

1年次から公務員講座が受講できる

 法政大学は例年、4月から大学生活をスタートさせたばかりの新入生を対象に、キャリアガイダンスを実施。就職活動が本格化する前に自分の興味関心や長所を発見させ、社会人への準備を促すきっかけを作っています。

 1年次から「キャリアデザイン入門」を正式の授業科目に取り入れており、長い時間をかけてキャリア育成の土台を築き上げる狙いがあります。

 キャリアセンターによる2018年度の個別相談実施件数は約2万2000件に上り、就職活動を終えた4年生も学生サポーターとして、その心得や経験談をアドバイスしています。

公務員試験の勉強を行うイメージ(画像:写真AC)

 また2011年から公務人材育成センターを設置。ガイダンスや職務内容を知ることのできるさまざまなイベントを実施し、公務員を理解してもらう取り組みを積極的に行っています。

 公務員希望の学生には、1年次の入門講座を始めとして、学年に沿った講座を行っています。受講料金も、専門学校と比べて低価格です。

 公務員試験は受験科目が多く、学生ひとりで乗り越えることが難しいため、法政大学は長期的な視点に立った対策を行っているのです。

 そうした取り組みもあり、2018年度は国家公務員、地方公務員に就職した学生は344人に上りました。

画期的な自主マスコミ講座

マスコミのイメージ(画像:写真AC)

 1年生で基礎、2年生で表現と活字、3年生ではアナウンサーコースを筆頭に五つのコースに分かれており、出版や広告、放送業界への就職を考えている学生が学部の垣根を越えて集まっています。

 1期生から大手新聞社への内定を獲得。3期生にして、キー局であるフジテレビに小島奈津子アナを輩出したことで大きな注目を集めました。

 2018年度の自主マスコミ講座の受講生におけるマスコミ就職者は62人で、そのうち10年連続、キー局とNHKアナウンサー内定の結果を出しています。

卒業生ネットワークをフル活用

 このほかにも2011年7月には、有名・有力企業約80社に勤務する中堅から若手のOB・OGが集まる団体「法政BPC(ビジネス・パーソンズ・コミュニティー)」が発足。学生との交流会や座談会を行っており、先輩たちのリアルな声を学生に届ける貴重な場を提供しています。

 なお同コミュニティーの事務局は、キャリアセンターと卒業生の代表が担当しています。

大学OGのイメージ(画像:写真AC)

 職種別の座談会も開催され、志望する職種を詳しく知る機会を設けています。就職活動中に、5年以内に卒業した約1万6000人(2018年12月現在)のOB・OGへの訪問が可能で、法政大学独自の卒業生ネットワークをフル活用していると言えます。

明確なキャリア育成が高い就職率に

 自らのキャリアを考えるには、就職活動目前では時間が足りず、思うような結果も残せません。

 そのため法政大学では1年次からキャリア教育をし、時間をかけて学生ひとりひとりが就職や社会人に向けて自然と自覚を持ち、準備できるようにしています。

法政大学のウェブサイト(画像:法政大学)

 大学の手厚いサポートやOB・OGの支援は、就職活動に不安を感じる学生の心の負担を軽減し、前向きに取り組める大きな支えになっています。

 都内私立大学の中でも指折りの伝統校であるにも関わらず、その歴史にあぐらをかかず長期的な視野で積極的に学生のキャリア育成に注力していることが、高い就職率に結実しているのです。

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