2018年6月に浅草でオープンした、みそ汁の専門店。お米とみそ汁の組み合わせは栄養バランスの整った「完全食」であるとして、その新たな魅力を発信しています。
オープン2か月でインバウンドに大人気
日本人にとって、みそ汁は毎日の食卓に欠かせない料理のひとつです。食生活の欧米化でその消費量は年々減少しているものの、日本食のイメージを色濃く打ち出す「脇役」であることに間違いはないでしょう。
浅草駅近くの「MISOJYU(ミソジュウ)」(台東区浅草)は、そんなみそ汁を「メインディッシュ」として提供するために2018年6月、オープンしたお店です。来店客の3割以上がインバウンド(訪日外国人)だといいます。
「MISOJYU」のディレクションを手掛けたのは、エドワードヘイムスさんです。エドワードさんは写真家として世界を股にかけて活躍する一方、米カルフォルニアでシェフとして8年間勤務。その経験を生かして、現在では飲食店のフードディレクターなども務めています。
「世界中には、クラムチャウダーやポトフなど、メインディッシュとなるスープ料理がたくさんあります。僕はみそ汁をその水準まで引き上げたかったのです」
そう話すエドワードさん。店名を「MISOJYU」とローマ字表記にしたのも、お店の海外展開を視野に入れているためだといいます。ちなみに、汁(しる)を「JYU」と音読みにしたのは、「単に響きが良かったから(笑)」です。
米 + みそ汁 = 「完全食」
同店を訪れる外国人観光客には、日本の発酵食品にもともと関心のある人が多く、特にその栄養価に注目しているとのこと。スタッフの説明にも熱心に耳を傾けているといいます。
「米とみそ汁という組み合わせは、栄養バランスの整った『完全食』なんです」(エドワードさん)
「完全食」とは、健康に必要なさまざまな栄養素を含んだ食事のこと。米とみそ汁は、3大栄養素である炭水化物(米)、タンパク質と脂質(みそ汁)をバランスよく摂れるためというのが、その根拠のようです。
「当店のみそ汁は、すべて具だくさん。野菜や肉など、具材も豊富なので栄養満点です」(同)
食材の多くは、有機か無農薬栽培
「MISOJYU」では現在、レギュラーメニューとして2種類、特別メニューとして3種類のみそ汁を提供しています(2018年8月13日時点)。
「MISOJYU」のオープンと、メニュー作りの根底には、若手書道家として知られる武田双雲さんが率いる「地球プロジェクト」の存在が大きく関わっています。
「地球プロジェクト」とは、武田さんとその友人たちが、有機栽培の食材を使った飲食店を作ることを目的に立ち上げたプロジェクトです。その第1弾として、神奈川県藤沢市に2017年、カフェレストラン「オーガニックカフェギャラリー地球」がオープン。「MISOJYU」はその第2弾という位置づけなのです。
「当店で使用している米、みそ、野菜はすべて、有機もしくは無農薬栽培のものを使っているんですよ」(エドワードさん)
米は、低アミロース米のミルキークイーンなどを使用しているため、もちっとした食感で、冷えても硬くなりにくいのが特徴。みそには、島根県浜田市にある「やさか共同農場」の白みそ、赤みそ、黒大豆みそを使っているといいます。
「農場があるのは、まさに『秘境』の名がふさわしいほどの山奥で、水がとてもきれいです。そんな水を栽培に使っているので、大豆本来のうま味が強いんですよ」(エドワードさん)
みそを支えるだしにも、厳選したかつおぶしや昆布を使用しているといいます。
野菜は、京都・大原の「鉄ミネラル野菜」を使用。アクやエグみが少ないため、フルーツのような甘さがダイレクトに伝わってきて、茎や葉もおいしく食べられるそうです。また栽培量が限定されているため、東京ではほとんど口にできないとか。
「MISOJYU」では、これらの素材を使用したオリジナルみそ汁のほか、おにぎりなどを添えたセットメニューも揃えています。おにぎりは単品でも購入可能です。
同店では今後、オリジナル味噌の開発を行っていくほか、店舗2階でインバウンド向けの「だしセミナー」やワークショップなどを開催していくそうです。
同店のオープンをきっかけに、みそ汁が「脇役」から「メインディッシュ」へ、世界にその名をとどろかせる日も遠くないのかもしれません。
【MISOJYU(ミソジュウ)】
東京都台東区浅草1-7-5
銀座線「浅草駅」1番出口から徒歩3分、「田原町」駅3番出口から徒歩5分
8時30分~11時(モーニングタイム)、11時~19時(レギュラータイム)
月曜定休
03-5830-3101