東京でも古き良き日本を感じたい…。こうしたニーズは今なお少なくないのではないでしょうか。そこで今回は、東京の山手線内でも古き良き日本を感じさせてくれる、そんな素敵な宿を発見したので紹介します。
東京の田端に、築49年の古い建物があります。この家屋を立て直すことなく最大限に再生させるプロジェクト「REDO」がスタートしました。このプロジェクトは、多種多様な古い建物と共に生きる人々の新しい未来を創るというコンセプトのもと、木造2階建ての古民家を耐震補強しリノベーションして宿泊施設として再生させるものです。建物のデザインや設計を担う会社、グラフィックデザインを担う会社、庭園の植栽を設計する会社、宿泊施設を運営する会社がプロジェクトに参画し、2024年3月に宿泊施設としてオープンしました。
この宿泊施設の名称は「東sui京」です。東京の粋を「sui」と表現し、東京の中で「sui」=「粋」を感じてもらいたいという想いを込めて名付けられました。
「東sui京」はひっそりとした隠れ家的な場所に位置し、都心にも関わらず静かで落ち着いた時間が流れています。宿に備わった贅沢な庭を部屋からゆったりと目で楽しむ、日本ならではの時間の過ごし方を味わえます。
壁や天井にも日本らしさを感じさせる工夫が施されています。玄関から正面に見える壁と天井は、人気左官職人である大橋さんに依頼しました。大橋さんは、「古い建物を最大限に活かして再生させるというコンセプトの中で、天井には淡いグリーンの少し艶のある仕上げを目指しました。広い庭の緑を室内で連続して感じられるように、という室内デザイン側の意図を素材と色に落とし込みました。淡いグリーンに細かい川砂を配合することによって奥行きとテクスチャーの変化をもたせました。庭からの光と照明の光によって様々な表情を見せる素敵な天井になりました」と述べています。ダイニングと寝室の壁にはモルタルのグレーとサーモンピンクの混ざった複雑な色と動きのある壁に仕上げました。フレスコ画のようにベースが乾く前に次の色を入れていき、壁の中に色が定着することで表面的な色の変化より内側から滲み出た奥行きのある壁になりました。
日本の四季を感じられる日本庭園風の庭もこだわりの一つです。都会の中であるにも関わらず、静かな空間で心を落ち着かせて庭を眺めることができます。眺めて過ごす時間は、街の喧騒を忘れさせてくれる時間になります。夜には自動的にライトアップし、東sui京に宿泊した人しか感じることのできない特別な空間を演出します。
古民家を再生した宿ですが、内装や設備は過ごしやすさを追求しています。リビングとダイニングキッチンを合わせた約20平方メートルの空間では、湾曲した広々としたソファが南西の方角に向かって設置されています。大胆に開かれた窓から庭を眺めるのに最適なセッティングになっています。大きな窓からの日当たりも良く、天井も高くしているのでゆったりと過ごせます。
「東sui京」は最大12人の宿泊が可能です。4部屋の寝室にはダブルベッド以上のシモンズベッドを採用しており、団体や複数家族での利用にも向いています。
【宿泊施設情報】
「和モダン一棟貸切宿 東sui京」
☎ 050-1741-8882
東京都北区田端1-19-23
JR山手線「田端駅」南口から徒歩約4分