【日本を元気にする企業経営者リレー対談 日本の将来は人財によってつくられる!】 AI・DXが加速する時代、求められる人財と企業の戦略とは

  • URLをコピーしました!

公開経営指導協会の理事長・喜多村豊氏がさまざまな分野の経営者と、日本を元気にするための英智を語り合うリレー対談。第1回は株式会社キューブアンドカンパニーの常務取締役、加賀裕也さんをお迎えし、AI時代における人財について語っていただきました。

目次

小売や物流の現場でも、日進月歩で進化するDX

左が喜多村豊さん。右が加賀裕也さん

喜多村: 今回お迎えしたキューブアンドカンパニーさんは、AIやIT分野の最先端でいらっしゃいますが、まずはどのような会社なのかお聞かせいただけますか?

加賀:弊社はコンサルティング事業と事業開発を行なっている企業です。コンサルティング事業においては、戦略とITの両輪でお客様をサポートしていまして、私は戦略コンサルティング業務に携わる担当役員をしています。対象の業種は多岐に渡りますが、中堅オーナー企業に対して、提携やAIなどの新技術を用いて、新規事業の立ち上げや、DXを支援しています。また、中堅企業のM&Aのデューデリジェンスを多数実施しています。

喜多村:加賀さんはDXに関する書籍も出版されていますよね。私たちの社会生活において、AIをどのように捉えていますか?

加賀: これまでAIは人を助けるもの、効率的に物事をこなしてくれるものだったと思いますが、ChatGPTが出てきて以降、AIは人のパートナーと呼べるレベルまで存在感を増しているのではないでしょうか。これからも新たな付加価値が生み出されていくと思います。

喜多村: とはいえ、ChatGPTもまだ発展途上ですよね。例えば、30人の部下にレポートを上げてもらうとします。そのとき、それぞれがインプットの仕方を正しく行わないと、ChatGPTを活用してもアウトプットされるものが変わってきてしまったり。

加賀: そうですね。サマリーが変わってしまう。ChatGPTも今のレベルが最高の状態ではないので、今後、そうしたところも進化すると思いますね。

喜多村: 最近は、LINEでやり取りする際に「。」を付けると若い方は威圧感を感じると聞きます。社内・社外問わずコミュニケーションの問題が増えているようですが、逆にChatGPTによってインプットのフォーマット化ができるとジェネレーションギャップも含め、コミュニケーションがスムーズにいくのではないかと。私はそんな期待もしているんですよね。

加賀: 確かにそうですね。フロントエンドエンジニアリングと言って、AIの活用も、事前にどういうルールを作れば使いやすくなるのかが重要だと言われていますが、今後はそこにプロの手を入れなくてもいいくらいAIは進化するのではないかと思います。昨今では、ChatGPTが組み込まれている小売向けのグループウェアツールもありまして、例えば一言「バナナが腐ってる」と書くだけで、それが業務指示として送られるというところまで実現しているんですよ。

お客様以上に深い観点から課題に向き合うことの重要性

さまざまな経営課題を熟知する加賀さん。中堅オーナー企業の新規事業やDXをAIなどの新技術を用いて支援する

喜多村:御社には、昨今、どのような相談が増えていますか?

加賀:とくにコロナが明けて多くなったのは事業承継に関してですね。働き方改革への対応ですとか、さまざまな要因で我々のところにも相談が来ます。売買前のいわゆるデューデリジェンスだけでなく、PMIと呼ばれる合併後の経営統合支援というところでのコンサルティングが今後も増えてくるのかなと。

喜多村: 私どもの場合は流通・小売業のお付き合いが多いのですが、息子さんがスーパーを継ぎたがらないようなケースは多いと思います。そういう相談にも気軽に応じている感じですか?

加賀: はい、もちろん。M&Aって、みなさん想像されているほど大きな会社のことではないんですよ。小さくとも利益を上げている会社さんなら、買いたいという企業はいくらでもありますので。売上数百億の会社も手がけたことはありますが、わりと弊社の得意とするのは5億や10億といった売上規模の会社さんで、社長がいなくなったときにきちんと経営が遂行できるかというところですね。

喜多村: 御社のコンサルティングの強みはどういったところでしょうか?

加賀: 手前味噌にはなってしまいますが、課題に対してお客様以上に深い深度で考え、そして答えを出した後もお客様と伴走しながら改善に取り組む。そこは自負しているところです。当事者意識を持つのは当然ですが、プロジェクトチームにはクライアント様のメンバーにも入っていただき、現場の方々と同じ目線で課題に向き合います。コンサルタントが勝手に進めるのではなく、あくまでお客様のプロジェクトだと思っていただけるよう、チーム編成を考えています。

喜多村: 私たち公開指導経営協会でも「購買代理」、つまり、つねにお客様の立場に立って働くという考え方を大事にしていますが、まさにそこですね。以前に御社にお伺いした際、オフィスのミーティングルームがカフェのような雰囲気で、従業員満足度も非常に高そうな印象を持ちました。

加賀: 弊社は、今時にしては珍しく、全社員、毎日出勤というスタイルなんです。コンサルティングにおいては、業務の中で教育を行う「OJT」で人財の質を高めることが重要だと考えていますので、従業員が出社に満足し、力を発揮できるような環境はできるだけ整えたいと思っています。離職率もコンサルティング業界の中では低い方ではないでしょうか。

ESGやSDGsへの取り組みはオーナー企業の存続にも不可欠

二人の「人を大切にする」経営理念は、分野は違えど互いに共通するものだ

喜多村: AIが進化すると、一方で人の存在感が薄れ、働く人たちのモチベーションも上がりませんし、自己肯定感も低くなってしまうのではないかという心配もあります。加賀さんは、これからの時代、必要となるのはどのような人財だとお考えですか?

加賀:我々のこれまで培ってきたナレッジは、AIやDXというところですが、それら急速に進化する分野において必要なのは、スペシャリストではなく、総合的なゼネラリストだと考えています。一方、企業にとっては、先ほど喜多村さんのおっしゃっていた従業員満足度を高めることが必須だと感じますね。昨今よく聞くようになったSDGsへの取り組みも、人財がやる気を持って働くことにつながるのではないかと思います。

喜多村: 最後に、キューブアンドカンパニーさんの今後の展望をお聞かせください。

加賀:中長期的な視野に立ったコンサルティングを強化して、お客様をサポートしていきたいと思っています。先程お話ししたようにESGやSDGsに取り組むことは、働く人たちのモチベーション向上に繋がると思いますが、それ以外にも企業価値だったり時価総額を上げることにつながりますし、事業利益を上げていくことと同等、もしくはそれ以上に重要になってくると思うんです。とはいえ、これらはすぐに儲かる話ではないので、必要性を感じながらも劣後していたり、何から手をつけていいか分からないといった悩みを持つ企業も多いのが現状です。とくにオーナー企業さんはオーナーと経営者の二つの目線があるため優先順位をつけるのに悩まれると思うんですね。我々はコンサルタントという立場から企業の改善・改革・戦略の手助けをおこなうわけですが、持続的な経営を行うには、短期的な収益にフォーカスするだけでなく、中長期的なサポートをしていきたいと思っています。 喜多村: ありがとうございます。私たち流通・小売の業界は労働集約型のマンパワーを要するのですが、残業が増えるような厳しい労働環境では人が集まりません。ITやDXといった技術と人との融合によって、今後そうした問題も解決できるのではないかと期待しています。


◆加賀裕也(かが ゆうや)
戦略コンサルタント
株式会社キューブアンドカンパニー常務取締役
ストラテジーコンサルティング部門担当役員

株式会社キューブアンドカンパニー
所在地:東京都中央区東日本橋2-7-1 FRONTIER東日本橋7F
URL: https://cube-company.com/
【著書】
『オーナー企業の時価総額経営 SDGs、ESG時代を生き抜く』
https://www.amazon.co.jp/dp/4434336649

『SROIとインパクト評価が社会を変える 〜SDGs・ESG時代の新たな経営戦略』
https://www.amazon.co.jp/dp/4434291866

『X-Techビジネス大全 〜既存産業×デジタルが最適化社会を切り拓く』
https://www.amazon.co.jp/dp/4434273736

◆喜多村豊(きたむら ゆたか)
一般社団法人 公開経営指導協会 理事長
株式会社ティーケートラックス 代表取締役社長
学校法人早稲田実業学校 評議員理事・校友会副会長

一般社団法人 公開経営指導協会
所在地:東京都中央区銀座2-10-18 東京都中小企業会館内
URL: https://www.jcinet.or.jp/

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次