日本経済を支える中小企業が抱えるさまざまな課題の解決をサポートする心強い味方、中小企業基盤整備機構(中小機構)。昨今の人手不足の深刻化を受けて同機構では支援体制を強化し、人材確保のための情報サイトや相談窓口を拡充。人材に悩む経営者・人事担当者必見の新施策とは!?
中小企業の人手不足が深刻化。“人材”がますます重視される時代へ
昨今における中小企業の経営課題について、「原材料や仕入れ単価の上昇、需要の停滞、人手不足などが挙げられますが、なかでも人手不足は重要課題の一つ。少子高齢化による生産年齢人口の減少など構造的な問題もあり、人手不足は中長期的に続くと予測されます」と話すのは、中小企業基盤整備機構理事で人材支援担当の高橋浩樹さん。
実際に中小機構が2023年11月に全国の中小企業・小規模企業者1,560人に行った「人手不足に関する中小企業・小規模事業者の意識調査」では、全体の3割強が人手不足の状況を深刻と捉え、6割強が重要または将来的な課題と捉えていることが明らかに。
「特に建設業やその他サービス業でその深刻度が高く、人材確保の取り組みについてはシニアの活用は進んでいるものの、副業人材・外国人・障害者の活用は進んでいないこと、また解決への意欲があってもコスト(予算)・ノウハウ・情報が不足しており、こうした面での支援が求められていることも分かりました」(高橋さん)
さらに社会の動向を見ても、国は「骨太方針」(経済財政運営と改革の基本方針)で人への投資を重視しているほか、2023年から大企業で人的資本の情報開示の義務化が始まり、「人的資本経営」がトレンドに。今後はこの流れが中小企業にも波及し、ますます“人”が重視される時代になると言えるでしょう。
まずは「J-Net21」で情報収集。相談は「人手不足相談窓口」へ
こうした情勢の変化や支援ニーズに対応するため、中小機構では人材確保の観点から、新たな取り組みを拡充しています。
その一つ目の軸となるのが、中小機構が運営する、中小企業ビジネス支援サイト「J-Net21」の拡充です。J-Net21は中小企業と創業予定者 ・支援者のためのポータルサイトで、全国の中小企業向けの支援情報を毎日更新するほか、専門家によるビジネスQ&A、企業事例などの便利な情報を効率よく入手できます。
なかでも人材確保の視点から注目なのが、同サイト内に2023年2月に立ち上げられた特設サイト「人手不足に対応するための支援情報」です。“情報不足・コスト不足”の解決をサポートするため、J-Net21のコンテンツの中から人材確保に関する情報を集約したもので、国やさまざまな機関から出ている人材に関する補助金・助成金・ 融資情報などの役立つ情報が一度で把握できるのが強みです。
「各自治体の多様な支援情報もスムーズに探していただけるよう、都道府県別に支援情報をまとめました。そのほか人材確保の身近な疑問を解決するQ&A、人材確保の知識が詰まった『経営ハンドブック』などのコンテンツも強化し、人材採用から人材育成・定着までの幅広い課題解決をサポートします」と、同機構J-Net21担当の多田亜彩美さん。
一方で“ノウハウ不足”への施策となるのが、2024年1月にスタートした「人手不足相談窓口」。全国9カ所の地域本部のリアルおよびオンラインで、人手不足支援に精通する専門家に無料相談ができる便利なサービスです。
「人手不足の解決のためには、まず経営課題を見つめ直し、自社に合った人材を見極めることが大切です。その点で中小機構の大きな強みと言えるのが、経営課題を幅広く扱ってきた観点を生かして、各企業に応じた人材のサポートができること。相談窓口では『どのような層の方を採用すればいいのかわからないが、とにかく人手不足で困っている』といった漠然とした悩みから『求人票の書き方』といった具体的な相談まで、幅広く対応が可能です。また各支援機関とのネットワークも充実しているため、必要な人材を明確化した後は、適切な機関におつなぎすることもできます」と高橋さん。
さらに今後はノウハウ支援として、全国9カ所の中小企業大学校やオンデマンド研修コンテンツ「ちょこゼミ」などを通して、人材対策に関する研修も強化される予定とのこと。
まさに中小企業の多様な課題解決のためのヒントが詰まった「中小機構」。ご紹介した「J-Net21」や「人手不足相談窓口」などの支援メニューを活用して、この先の“採用戦国時代”を乗り切りましょう!
●J-Net21
https://j-net21.smrj.go.jp/index.html
中小機構による中小企業 ・創業予定者 ・支援者のためのポータルサイト
●人手不足相談窓口(リアル/地域本部)
https://www.smrj.go.jp/sme/consulting/tel/index.html
【経営アドバイス(対面相談・Web相談)】にて最寄りの地域本部をクリックし、 【経営に関する相談 経営アドバイス】から申し込みを。
●人手不足相談窓口(オンライン)
https://www.smrj.go.jp/institute/bkmqel000000bdeg.html
1回2時間以内、計3回のオンライン相談が可能
●IT 経営サポートセンター(4月より)
https://it-sodan.smrj.go.jp/
IT導入(省力化)に関する対面型オンライン相談を全地域本部での対応に拡充