和楽器には「ドレミ」がなくて「いい塩梅♪」 気軽に奏でるミニ三味線「ちんとん」

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「厳密に音を追求しなくてもいいんです。リズムと雰囲気が合っていれば、それで“いい塩梅”になるんですよ」 東京・葛飾区で40年近く続く老舗三味線工房「三絃司きくおか」を訪ねると、代表の河野公昭さんは、あっけらかんとそう笑って迎えてくれました。

「楽器を始めるなら、正しくドレミを弾けなければいけない」。私たちが当たり前のように抱えているそんな音楽の常識を、ひょいっと飛び越えてしまう日本生まれの弦楽器があるんです。 それが、河野さんが生み出した小さな三味線「ちんとん」。

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今回は、このユニークな楽器の誕生秘話や、私たちが誤解している三味線の本当の楽しみ方について、河野さんにたっぷりとお話を伺ってきました。

三絃司 きくおかの工房がある葛飾区のビル
三絃司 きくおかの工房がある葛飾区のビル
目次

本物の2/3サイズ。選挙ポスターの紙から生まれた「破れない三味線」

軽いから膝の上に載せて弾きやすい「ちんとん」
軽いから膝の上に載せて弾きやすい

「ちんとん」は、三味線専門工房である「三絃司きくおか」の職人たちが、一から手作りしているオリジナルの和楽器です。 その大きさは、本物の三味線の約3分の2。ズッシリと重い本格的な三味線とは違い、驚くほど軽く、自由に抱えて弾くことができます。

ウクレレのような存在だと思うと、想像がしやすいかもしれませんが、実はもっとはじめやすくもっと自由に気楽な楽器なのです。

「ドレミ」の正解はいらない。私たちが誤解している三味線の本当の姿

「いくら小さくて手軽そうでも、三味線ってやっぱり敷居が高いし、お稽古が厳しそう……」と感じる方も多いはず。 実はそれこそが、私たちが三味線に対して抱いている大きな“誤解”なんです。

昭和の高度経済成長期、三味線は企業の重役たちが料亭で商談を行う「お座敷遊び」には欠かせない、ビジネスパーソンにとって非常にポピュラーな存在でした。しかしその後、夜の社交場にカラオケが急速に普及していくのと入れ替わるようにして、三味線は徐々に影を潜めていきます。そしていつの間にか「一部の人がやる難しい伝統芸能」というイメージだけが定着してしまいました。

また、楽器というとそもそも難しいものと感じますよね。

私たちが楽器に難しいと思うハードルの高さを感じる最大の理由は、ピアノやギターのような西洋楽器の「ドはド」という「絶対音」のルールに縛られていることにあります。

楽譜に沿って正しい音を弾く、楽器というとこの原則に沿って練習をする必要がありますが、三味線の本質はまったく違います。三味線は「だいたいの音」で奏でる「相対音」の楽器なんだそうです。

三味線の竿(ネック)部分に目安として貼られている譜尺シール
三味線の竿(ネック)部分に目安として貼られている譜尺シール

ギターには手で触って分かるようにネックにフレット(音階の区切り)が付いていますが、三味線にはそういったものはありません。

だいたいの目安として竿の横に譜尺シールを貼ることはありますが、弾き手はその日の空気を感じながら、「勘所(かんどころ)」と呼ばれる音のポイントを指先で探っていきます。

一流の三味線職人である河野さんが語る通り、厳密に音を合わせるのではなく「その場の雰囲気で、いい塩梅(あんばい)で弾く」のが三味線最大の魅力。

河野さん「正解を気にせず、適当に弾いていい音が出たらそれでいい。音が明確に定められていないからそれが味として楽しめる。三味線とは本来、とても自由でおおらかな楽器なんですよ。」

夜の自室でも気兼ねなく。現代の暮らしに寄り添うアートピース

そんな三味線本来の「気楽さ」を、現代のライフスタイルに合わせてさらに引き出したのが、この「ちんとん」です。

本物の三味線は天然の動物の皮を張って作られるため、湿気に弱く破れやすいうえ、張り替えに数万円の維持費がかかってしまうという弱点がありました。

ちんとんの音響膜(皮)には、丈夫で水にも強い合成紙「ユポ紙」を使っています。

さまざまなデザインが施された「ちんとん」
音響膜にはユポ紙を使用しているため、デザインが可能

このユポ紙、とても印刷に向いているため様々なデザインがしやすいのですが、実は選挙の投票用紙や屋外ポスターにも採用される強靭な素材で、折れや水に非常に強いという特徴があります。雨風に耐える素材を三層構造にしているため破れる心配はなく、面倒な手入れは一切不要。湿気を気にしてケースに厳重にしまう必要もありません。

耐久性やメンテナンス性でも皮を使用している三味線よりも気楽に使え、またインテリアとしても使いやすい理由です。

キャラクター、日本画、スポーツアイコンまで様々なデザインの「ちんとん」

価格も18,700円(税込)と、10万円近くする本物のお稽古用三味線に比べてぐっと手が届きやすいお値段です。

組み立ててすぐ弾ける。ちんとん独自のワークショップ

正解がない自由な楽器とはいえ、弦楽器である以上「演奏の準備」は必要です。 ちんとんには3本の弦がありますが、演奏の前には自分の手で糸巻きを回し、音のバランスを合わせる「チューニング(調弦)」が欠かせません。ここが合っていないと変な音になってしまうため、まずは「今日の音」を整えるところからスタートします

「でも、独学でチューニングや音出しができるか不安……」という方におすすめなのが、三絃司きくおかが各イベント会場などで開催しているワークショップです。

このワークショップでは、ちんとんの「組み立て(DIY)」と「簡単なレッスン」を体験できます。 実はちんとんのパーツは、わずか40分ほどで誰でも簡単にボンドでジョイントできるように開発されているのです。

「ちんとん」の製造がおこなわれる工房。職人によって1つずつ作られる
ちんとんのパーツが削り出される、職人の工房

自分で3本の糸を通してチューニングを終えたら、河野さんによる簡単なレッスンがスタート。ワークショップ内で「さくらさくら」などの曲であればそれとなく弾けるようになってしまうのだとか。

小学生のお子さんを対象にしたワークショップでも、付き添いで来たはずの親御さんの方がすっかり夢中になってしまうことも多いそうです。

三味線との使い分け

本物に比べて音が小さいため、夜の自室でも隣人を気にせずポロポロと弾けるのも、現代の暮らしに嬉しいポイントです。

難しい楽譜も、面倒な手入れもいりません。 付属の専用スタンドで部屋の片隅にインテリアとして飾っておき、気が向いた時にだけサッと手に取って、自分だけの“いい塩梅”を探る。
ちんとんは、そんな「生活の余白」を彩るための、気楽で新しい選択肢です。

そしていつか、「もっと本格的な音を出してみたい」と思ったら、その時は気負わずに本物の三味線へステップアップしてみるのも良いでしょう。軽くてサイズもコンパクトなため扱いやすく、初めての方は本格的な三味線に挑戦するよりも、このちんとんから始めた方がスムーズに上達できるそうです。

まずはこの小さな相棒と一緒に、自由でおおらかな和の音色を、あなたの日常に響かせてみるのはいかがでしょうか。

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さらに広がる、三絃司きくおかの世界

プレミアムストアでは、今回ご紹介した「ちんとん」以外にも魅力的なアイテムを多数ラインナップ。伝統の技と遊び心を掛け合わせた「SHAMIDAMA」や「打宝音」、美しい響きに癒される「天神チャイム」など、現代のライフスタイルに寄り添うユニークなオリジナル商品を取り揃えています。ぜひプレミアムストアを覗いてみてください。


三絃司きくおか
〒124-0014 葛飾区東四つ木1-22-1 東四つ木工場ビル302
■ホームページ
 https://kikuoka123.com/

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