世界を元気にする日本人の誇りを持つ熱き挑戦者たちリレー対談 日本の将来はあなたによって創られる! <第15回>副業・兼業が進むこれからの時代、日本企業の経営課題は「スキルシェア」によって解決できる

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公開経営指導協会の理事長・喜多村豊氏が、世界を元気にする挑戦者たちと日本の将来について語り合うリレー対談。第15回目の今回はアクシスコンサルティング株式会社の代表取締役会長CEO山尾幸弘さんと代表取締役社長COO伊藤文隆さんをお迎えし、コンサルティング業界の最前線についてお聞きしました。

目次

立ち遅れた日本企業のDX化のカギを握るコンサル人材

喜多村:まず、御社アクシスコンサルティングについてお聞かせいただきたいのですが、コンサルティングファーム向けに人材を紹介する事業を軸に発展されてきた会社という認識でよろしかったでしょうか。

山尾:私自身は1992年から人材ビジネスに身を投じていまして業歴30年になります。創業は2002年で、当時はERPシステムの導入ですとか、いわばDX化のはしりと言える業態変化が起きた時期。それらを担う人材を紹介するところから出発し、現在はコンサルティングファームへの人材紹介事業に加えて事業会社(コンサルティングファーム以外の企業)向けのDX人材やCxO人材の紹介等を行っています。

喜多村:2023年には東証グロース市場にIPOしましたね。

山尾:今後は事業会社向けの人材紹介事業を成長させたいと思っています。とくに日本企業の99%を占める中小企業は、DX化において世界的に見ても遅れています。企業が競争力を高めるうえで待ったなしの状況にあるわけですが、ご存じのとおり労働人口が減っていく日本でDX等を担えるハイエンド人材は圧倒的に不足しています。

一方で、副業や兼業が促進される時代がすでにやってきていますし、そこには大きな成長マーケットがあるわけです。当社は「スキルシェア」と呼んでいますが、コンサルティングファームや事業会社へプロジェクトに必要な人材をシェアリングする形で紹介する事業を新たな柱にしたいと考えているのです。

喜多村:我々、流通業界でもそうなんですが、昨今はDXという言葉だけが独り歩きして「DX化しなきゃダメだ」とか「AIの時代に乗り遅れるな」とか言っても、実際、何をしていいかわからないような会社も多いですよね。

山尾:おっしゃるとおりですね。よく言われるようにDXは手段であって目的ではないですし、大手企業のDXはもう何周目かに進んでいて、DXによってさまざまな経営課題を解決してきた知見やノウハウを持っています。

それを担ってきたのが大手の戦略ファームやグローバルファームのようなコンサルティングファームです。ところが中小企業には大手のコンサルティングファームに依頼することは不可能です。極端に言えば、日本の経済、産業の課題を解決する集団がコンサル系の人材だと言っても過言ではありませんので、中小企業にその手段がないというのは課題だと以前より感じておりました。スキルシェアのサービスを立ち上げたのもそのような背景からです。

喜多村:DXで解決を図るべきハイエンドな部分と言うと、企業のどういった課題になるんでしょうか?

山尾:経営に関わるありとあらゆる問題ですよね。人事・組織の問題やガバナンスの問題もありますし、財務や経営戦略をどう構築したらいいのか、コスト削減をどうするか、どうイノベーションを起こせばいいのか等、あらゆるテーマでDXの推進が不可欠です。

そうした問題を解決できる人たちというのは、わかりやすく言えば、事業会社の中では経営陣や幹部クラスになりますし、コンサルティングファームではDXのプロジェクトを経験しているコンサルタントになります。

喜多村:なるほど。中小企業が確保するのが難しいそうした人材を適材適所、シェアリングという形で御社が紹介し、DXを推進していくと。

低コストでコンサル人材を活用できる時代に

喜多村:本日は代表取締役会長CEOの山尾さんに加えて、9月より代表取締役社長COOに就任した伊藤さんにもお越しいただいていますが、御社の「スキルシェア」について詳しくお聞かせいただけますか?

伊藤:先ほど山尾からも話がありましたが、流通・小売業界でも大手企業はDX投資を進めていてラストワンマイルをどう推進するかというような段階に来ています。ただ、それより小さい規模の企業は、なかなかそうはいかない。やはりコンサルティングファームを使うと費用が高いですし、コンサルティングファームとしてもプロジェクト規模の観点から中小企業の課題解決を行うことはまれです。

昨今はDXの能力を持ったコンサルタントの副業解禁や、フリーランスのコンサルタントも増えています。我々のサービスはそうした人材のスキルをシェアリングすることにより、低コストでコンサルタントを活用できるようにしました。本業で大企業の経営戦略を提案しているようなコンサルタントが、土日に副業として地方の2代目社長の壁打ちを1時間1〜2万円で行うことも可能です。

喜多村:コンサルタントを活用する間口が広がりますね。

伊藤:スタートアップ業界にも注力しています。いいアイデアがあるのに事業計画や資金調達まで手が回っていないようなケースで、我々がスポットでコンサルタントを紹介し、事業計画の策定やVCからの資金調達などに利用していただく。今は国も起業を応援していますし、大学と組んでのスタートアップなども支援して、しっかり事業会社を伸ばしていこうという考えです。

喜多村:スキルシェアは労働人口が減っている日本を元気にするためにも、本当に必要なことなんですね。

伊藤:労働人口が増えているアメリカは4割強が副業・兼業・フリーランスとして稼働している方で、シェアリングも進んでいる。だからイノベーションが起きるのです。日本はわずか4%です。労働人口が減り続けているのに、1人の人が1社でずっと働き続けていては社会が保ちません。

日本人は1社に平均10年、生涯平均3.5〜4社に勤めると言われますが、アメリカは11社。3〜4年で次のキャリアに向かうわけです。ビジネスのサイクルは5年程度と言われていますから、アメリカの1社あたりので在籍年数は理にかなっているとも言えます。同じ会社で長年同じ業務をすることによりスキル面で市場価値が下がってしまう可能性もありますから、雇用の流動化やシェアリングを進めることは極めて重要だと思っています。

これから求められるのは「創造型」のビジネスパーソン

喜多村:お二人はともにメーカーのご出身ですが、前身でのご経験が人材紹介事業に役立っているという点はありますか?

山尾:個人的な視点にはなりますが、転職支援ってマッチングして決まるとそれで終わりなのですよね。一方、メーカーはアフターサポートが当たり前じゃないですか。

私はかねがね顧客との信用というのは、その瞬間だけではないと考えています。人材紹介でも、その企業の期待や利益に対して継続的に貢献していくというあり方を模索して起業したのです。ナーチャリング(顧客育成)という言葉がありますが、紹介して終わりではなく、顧客利益の継続のために伴走していく仕組みを大切にしています。

喜多村:私たちの流通業界では2024年の物流問題としてドライバーの拘束時間や移動距離に法規制が入り、人手不足が深刻化しています。一方で自動運転の技術は進化する。やはりこの先は、今までの作業をAIがとって変わる時代になっていくんでしょうか。

山尾:とって変わるというよりも、共存し併用しないと社会が成り立たないと思うのです。我々ビジネスパーソンとしては、AIを活用しながらビジネスをマネジメントできる人間にならないといけません。ChatGPTにしても、人間はいかにAIを活用し、問題の解決やイノベーションを考えられるか。そちら側に集中する時代になりますよね。

喜多村:この対談では「これからどんな人財が求められるのか」みなさんにお聞きしているのですが、まさにそうしたビジネスパーソンが求められていくとお考えなわけですね。

山尾:そうですね。課題の解決、価値の創造、もっと言えば業務の工夫・改善をしていく主体者にならないといけませんよね。情報を仕入れるだけではAIと何も変わらないです。

若い人には情報を活用しながら創造していく「創造型」のビジネスパーソンになっていただきたいし、最初は間違っていてもいいのです。価値の創造や問題の解決に挑戦すること、挑戦し続けることが会社組織の活性化になりますし、ひいては地域社会や産業全体の活性化にもつながるわけですから。我々はそうした若い人たちの挑戦を支えていきたいです。

◆山尾幸弘(やまお ゆきひろ)
アクシスコンサルティング株式会社 代表取締役会長CEO
◆伊藤文隆(いとう ふみたか)
アクシスコンサルティング株式会社 代表取締役社長COO

アクシスコンサルティング株式会社
所在地:東京都千代田区麹町4-8 麹町クリスタルシティ6F
URL:https://axc-g.co.jp/

◆喜多村豊(きたむら ゆたか)
一般社団法人 公開経営指導協会 理事長
株式会社ティーケートラックス 代表取締役社長
学校法人早稲田実業学校 前評議員理事・前校友会副会長
公益財団法人音楽鑑賞振興財団評議員
元法政大学大学院客員教員

一般社団法人 公開経営指導協会
所在地:東京都中央区銀座2-10-18 東京都中小企業会館内
URL: https://www.jcinet.or.jp/

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