ITを使い倒して仕事を効率化したい! こんなときIT担当者は何を考えるべき?

  • URLをコピーしました!

最近よく聞く「IT」。何となく理解するもののイマイチ分からないという人は多いはず。そこで、ITの普及や推進を支援するエンタープライズIT協会とアーバンライフメトロがコラボ! エンタープライズIT協会 代表理事で株式会社AnityA代表の中野仁氏が、IT導入のポイントや効果的な活用方法などを紹介します。今回は、ITを担当する人を取り巻く課題を洗い出しつつ、担当者として果たすべき役割について考えます。【IT企画推進担当者に求められるキホン】

企業のITがどうあるべきかを考え、最適なシステムの導入を検討するIT企画推進担当者。テクノロジの進化が加速する中、どのテクノロジが有効なのかを見極める「目」がIT企画推進者により求められるようになっています。5年後10年後の自社を支えるIT基盤をどう構築すべきか。これからのIT企画推進者に求められる役割について考察します。

自社の生産性や効率性を引き上げる手段として、新たなシステムの導入を検討する企業は少なくありません。ITに投じる予算を増やし、自社のデジタル化を加速させる企業も目立ちます。日本情報システム・ユーザー協会が2025年1月に発表した「企業IT動向調査2025」によると、2025年度のIT予算を前年度より増やすと答えた企業は49.5%。半数近くの企業が予算増額による積極策を講じ、さらなる効率化を進めようとしているのです。

とはいえ、予算を投じても導入効果を実感できないケースは少なくありません。「ITを導入しても業務が効率化しない」「システムが乱立し、どこにどんなデータがあるのか把握しにくい」など、システム導入がかえって現場の混乱を招く契機になることさえあります。

ではこんなとき、IT導入を主導するIT企画推進担当者は何に取り組むべきか。何に目を向けるべきか。とりわけ以下の3つの課題解決に注力することが大切です。

1.方向性の不在:短期的な問題解決に追われ、全体としての目標が見えなくなる

2.一貫性の欠如:個別の要望に対応するうちに、システム環境が複雑化し整合性が失われる

3.継続的な改善の難しさ:現実との折り合いをつけながら、ありたい姿を追求し続けることの困難さ

ITを導入して最終的に何を達成するのかといったゴールを描くとともに、すべての関係者がITに対して共通認識を持つためのまとめ役を担うべきです。まずは経営層や現場担当者などの利害関係者が議論する場を用意し、対話を通じて見方・考え方をまとめるようにします。このアプローチをけん引するのがIT企画推進担当者の役割です。

そこで今回、IT企画推進担当者が取り組むべきアプローチを連載化して解説します。課題解決までの取り組みを登山に例え、登頂するまでの具体的な実践方法を紹介します。

連載では以下の内容を解説します。
・第1回「山登りモデル:ASIS・TOBE・HOWで考える」
IT企画推進における3つの重要な要素の関係性と、それらを理解することの重要性について解説します。

・第2回「TOBEからの逆算」
登山計画のように目的地(TOBE)を先に決め、そこから現在地(ASIS)と行程(HOW)を考えるアプローチで、一貫性のあるIT施策を立案する方法を解説します。

・第3回「TOBEのピン留め」
目標を地図にピンを刺すように固定しつつも、変更が必要な場合は履歴を残して適切に管理する方法で、変化する環境の中でも方向性を維持する技術を紹介します。

・第4回「TOBE・ASIS・HOWの反復横跳び」
実際の現場では理想と現実の間を行き来するプロセスが生じますが、これを問題ではなく自然な進化と捉え、構造化して管理する実践的手法を解説します。

・番外編
第1回から第4回までの内容を改めて整理し、ポイントをまとめます。

本連載では、IT企画推進担当者としての基本的な役割にフォーカスします。IT導入に初めて携わる、IT導入プロジェクトの責任者を務めるなどの人向けに、基本的な内容から改めて解説します。基本を押さえることで、難解な状況を克服する柔軟性も養えると考えます。

さらに、ITを十分理解していない経営者や現場担当者と共有認識を持つために必要なフレームづくりも紹介します。「利害関係者の考えをどのようにまとめるのか」「異なる利害をどのように一致させるのか」などの問題を解消する際のフレームを例示し、具体的な活用方法も解説します。

IT導入による効果を必ず高めたいと考えるIT企画推進担当者に向く内容です。次週は第1回「山登りモデル:ASIS・TOBE・HOWで考える」について詳しく解説します。ぜひご覧ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次