昭和世代には“必需品”として知られ、一家にひとつ常備されていたタイガーバーム。近年はレトロ可愛いデザインがSNSで話題になったり、アスリートが筋肉疲労の回復に愛用したりと、再び人気が高まっています。
100年以上の間、世界の国で愛される、外用消炎鎮痛剤

レトロな虎のイラストが描かれた六角形の小瓶、そして鼻腔を爽快にくすぐる独特の香り。昭和生まれの世代なら、パッケージを見た瞬間、匂いを嗅いだ瞬間に「あ、これ、タイガーバーム!」と懐かしい思い出がよみがえるかもしれません。
かつてタイガーバームといえば、香港土産の大定番。インターネットもない時代、腰や筋肉の痛みなどに効く必需品という口コミが広まり、家庭の常備薬として重宝されるようになったロングセラー商品です。製造元の虎豹企業有限公司(ハウ・パー・コーポレーション)がシンガポールを拠点としているためアジアで普及しているイメージもありますが、その誕生はなんと1909年。以来、タイガーバームは、ヨーロッパや南米から北米、中東でもよく知られるメジャーブランドとして世界の人々に親しまれています。
そのタイガーバーム、一時期、代理店の契約終了によって日本では入手困難とされていましたが、2019年にシミックCMO株式会社が販売を再開。すると従来の愛用者はもちろん、それまでタイガーバームを知らなかった20代〜30代の間でもじわじわと評価が高まり、SNSや動画投稿サイトで取り上げられることも増えてきました。
「従来からの愛用者には常備薬として用いる方が多く、とくに肩や首のこり、腰痛、神経痛を訴えやすい50代女性の方にもご支持いただいています」と語るのはシミックCMO株式会社、セールス/マーケティング ディレクターの田中宏幸さん。
第3類医薬品に分類されているためお求めいただきやすく、薬箱にひとつあるだけで信頼感が違います。
一方、筋肉疲労やうちみ、ねんざなどの症状も緩和してくれるのがタイガーバーム。海外では身体を酷使するマラソンランナーにも支持を広げており、近年では日本でもアイドルグループの元メンバーが愛用品として雑誌で紹介するなど、運動前・運動後のケアに活用するアスリートも増えています。
効能の秘密は、独自に配合した植物由来の有効成分

そんなタイガーバームの魅力は、もちろん効能なしに語れません。製法の起源は中国の帝政時代。皇帝たちが激務のストレスによる疼痛の緩和を求めたことにさかのぼると言われますが、特筆すべきはd-カンフル、ハッカ油、チョウジ油、ユーカリ油といった4つの生薬由来の有効成分が、伝統処方によって配合されていることです。
シミックCMOの山口さんは、その配合について次のように説明してくれました。
「タイガーバームには、d-カンフル(樟脳:クスノキ由来の成分)が約25%配合されています。独特の匂いもd-カンフルによるものです。d-カンフルは、日本では古くから樟脳として防虫やリフレッシュに用いられてきましたが、効果としては局所鎮痛作用の他に血管を拡張させる作用もあるんです」
肩こりや腰痛、筋肉痛や関節痛の最たる要因は、筋肉の疲れやストレスによって血管が収縮することによって血液の流れが悪くなることが原因の一つです。タイガーバームにはその血行を改善し、局所的な痛みを緩和する成分が他にも含まれています。
また、同社の土屋さんは次のように語ります。
「成分表記に“d-カンフル”と記されているカンフルは、天然のクスノキから抽出されたものです。ちなみに化学合成されたものは“dl”が付きます。効果はほぼ同じですが、タイガーバームは化学合成品ではなく植物由来の天然成分によって作られているんです」
ちなみに抗菌作用のある丈夫なクスノキは樹齢1000年を超えることも。日本では神社のご神木としても祀られるありがたい常緑樹です。
d-カンフルとともにタイガーバームの圧倒的な清涼感を醸している成分は、古代エジプト時代より健康ハーブとして親しまれてきたハッカです。ハッカから抽出されるl-メントールは湿布薬にも用いられる成分で、筋肉の疲れや痛みを冷却作用とともに和らげてくれます。
また、チョウジはインドネシアが原産で、香料やスパイスとして紀元前よりインドやヨーロッパにも知られてきた植物。チョウジ油は日本のびんづけ油や整髪料、石鹸にも用いられることがあり、チョウジ油に含まれるオイゲノールには殺菌効果や鎮静効果があると認められています。現在は炎症や筋肉痛、関節痛などを抑える家庭薬の薬香料として配合されることが多い成分です。
そしてユーカリは、古来よりオーストラリアの先住民アボリジニが生活に取り入れてきた植物で、アボリジニの人々はユーカリの葉から油を絞り、うちみ、ねんざ、リウマチの治療に用いてきました。1800年代に西洋へ広まったユーカリ油は、その抗炎症作用や抗菌作用が科学的にも認められ、現在では塗り薬や蒸気浴剤などにも使用されています。
家事やデスクワークによる現代人のコリや痛みにうってつけ

「生薬の特徴として言えるのは、配合された各生薬の効き目の他に、その4種の生薬成分が複合的に作用し、効き目をもたらすということです」(山口さん)
塗るとスーッとするタイガーバームですが、その冷感作用が反射的に血管に作用し、血液の循環を良くしてくれるのだそう。タイガーバームが世代を超えて愛される秘密は、まさにその生薬の力によるものと言えるでしょう。
また、タイガーバームは少量でもよく伸びるのも特徴です。湿布薬のように貼った箇所からズレるストレスもなく、疼痛ポイントを探りながら塗ることができ、体毛のある箇所に使えるのも軟膏のいいところ。サラリとした使い心地で、1日の終りやお風呂上がりに、気になる部分をマッサージするように「塗りほぐす」とよいでしょう。
「家事や育児の疲労からくる手首やひじの関節痛や、デスクワークや長時間のスマホ利用によって起きやすい現代人の肩こりや首の痛み※1、腰痛や膝痛の対策にぜひご活用ください。これから暖かくなる季節、ウォーキングやランニングを始める方にも最適です」(田中さん)
※1:筋肉痛のこと
昨今は外国人観光客にも人気のタイガーバーム。実は日本のドラッグストアやECサイトで販売されているタイガーバームは日本の気候風土に合わせて作られています。
ご家庭の常備薬として、このレトロ可愛い虎のマークのロングセラー、おすすめですよ!
※参考文献
「漢方のくすりの事典 生ぐすり・ハーブ・民間薬」鈴木洋・著(医歯薬出版)
「日本のハーブ事典」村上志緒・編(東京堂出版)
「メディカルハーブ事典」日本メディカルハーブ協会(日経ナショナルジオグラフィック社)

■タイガーバーム
https://www.tigerbalm.com/jp/
品名:タイガーバーム® [外用消炎鎮痛剤 一般用薬品(第3類医薬品)]
容量:19.4g 900円/30g 1,200円(希望小売価格・ともに税抜)
効能・効果:肩のこり、腰痛、筋肉痛、筋肉疲労、うちみ、ねんざ、神経痛、関節痛、リウマチ
用法・用量:1日数回適量を患部に塗布又は塗擦する
成分・分量(100g中):d-カンフル24.9g、ハッカ油15.9g、ユーカリ油12.9g、l-メントール8.0g、チョウジ油1.5g
添加物:ワセリン、パラフィン
製造販売元(輸入元):
シミックCMO株式会社
東京都港区芝浦一丁目1番1号
お客様相談室:0120-305-633 (フリーダイヤル)
受付時間:9時~17時 (土・日・祝日を除く)