前編では、日本オムニチャネル協会・鈴木会長の「縦割りを壊し、人と人をつなぐ」という熱い信念について伺いました。
後編では、協会の象徴ともいえる一大イベント「オムニチャネルDay」の誕生秘話、そしていよいよ開催が迫る「オムニチャネルDay 2026」の見どころに迫ります。実はその裏側には、コロナ禍という絶望的な危機と、理事会での激しい衝突がありました。
緊急事態宣言下での最悪のスタート
――今や大盛況の「オムニチャネルDay」ですが、ここに至るまでにはかなりの紆余曲折があったそうですね。
鈴木氏: そうなんです。実は、協会を発足させて「さあ、これから盛り上げていくぞ!」と意気込んでいた矢先に、あの新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が出てしまった。リアルな交流の場を作ることが目的だったのに、いきなりその手段を奪われてしまったんです。「どうするんだ、これ……」という、まさにどん底からのスタートでした。
オンラインに見出した一筋の光。
――それは相当なショックだったのではないでしょうか。
鈴木氏: 正直、頭を抱えました。でも、運営メンバーと「あきらめるのではなく、今できることをやろう」と話し合いを重ねる中で、当時広まり始めていたZoomに目をつけたんです。
「まずはウェビナーをやってみよう」と。当時はみんな外出できず家にいましたからね。ほとんど告知も出せなかったのですが、蓋を開けてみたら、なんと1,500人もの方が参加してくださった。このとき、「たとえリアルで会えなくても、みんな『つながり』と『学び』を強く求めているんだ」と、暗闇の中に一筋の光が見えた気がしました。
――オンラインでの活動が、協会の新たな武器になったのですね。
鈴木氏:はい。その後もウェビナーは回を重ねるごとに勢いを増し、情報発信としての手応えは、予想を遥かに超えるものでした。
しかし、活動を続ける中で、次なる大きな壁にぶつかりました。ウェビナーの視聴者数は増え続けても、実際の「協会の会員数」が200人を突破したあたりから、伸び悩んでしまったんです。 オンラインは情報を「届ける」には非常に効率的ですが、それだけでは「このコミュニティの一員として共に歩みたい」という深いエンゲージメントまでは生まれない。これがオンラインの限界でした。ただ情報を得るだけの関係を超え、本気で語り合い、切磋琢磨する「仲間」になってもらうには、やはり画面越しではない、リアルの熱量が不可欠だということを痛感したのです。
リスクを覚悟で通した“勝負”の意志
――そこで、伸び悩みを打破するために、あえて大規模なリアル開催である「オムニチャネルDay」を企画されたわけですね。
鈴木氏: はい。2023年に「協会の再出発を印象付けるために、大きなカンファレンスを開きたい」と理事会で提案したのですが、実はここで林さん(現専務理事)と真っ向からぶつかりました(笑)。林さんは、開催自体を反対したわけではなく、ただ、実務を預かる立場として「私たちの現在の規模に適した、アットホームな会場で着実に取り組みましょう」という、非常に堅実で冷静な意見でした。
――なるほど。規模や「見せ方」についての意見が分かれたのですね。
鈴木氏: そうなんです。対する私は、せっかくやるなら協会の勢いを見せるために「協会の覚悟を見せるために一流の場所でやりたい!」と虎ノ門ヒルズフォーラムでやろうと提案しました。参加者が足を踏み入れた瞬間にワクワクするような、圧倒的なインパクトが必要だと信じていたからです。
最終的には林さんも私の熱意を汲み取ってくれましたが、あの時の議論は本当に激しかった。でも、そうやって本音でぶつかり合い、互いの「本気」を確認し合ったからこそ、今の「オムニチャネルDay」という一大イベントが、揺るぎない恒例行事として定着したのだと思っています。

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