世界を元気にする日本人の誇りを持つ熱き挑戦者たちリレー対談 日本の将来はあなたによって創られる!<第5回>社会でも芸能界でも、愛されるのは人間味と行動力

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公開経営指導協会の理事長・喜多村豊氏がさまざまな分野の経営者と、日本を元気にするための英智を語り合うリレー対談。第5回目の今回は、昨年より平和を発信する音楽フェス「PEACE STOCK」をスタートさせた歌手・島谷ひとみさんにお話を伺いました。

目次

アーティスト自らが企画し発信する、新しい平和のカタチ

島谷ひとみさん

喜多村:本日は歌手の島谷ひとみさんにご登場いただきました。島谷さんは昨年「PEACE STOCK 78’」というイベントを自ら発起人となって、アーティスト主体で立ち上げられました。どんな思いでPEACE STOCKを立ち上げられたのでしょうか?

島谷:訊いてくださってありがとうございます。このプロジェクトは同じ広島県出身で同い年のアーティストのHIPPYと一緒に立ち上げたのですが、ライブの打ち上げのとき、お互いにアーティスト活動を続けてきた中で感じていることをいろいろ話す機会があったんです。
私たちの世代は、自然災害やコロナ渦を経験していますが、そのとき、私たちのように表に出る立場の人間は、発信したことが自分たちの思っている以上に、人々に影響を与えるものなんだと。人の命を救えるんだということを確信したんですね。

それが分かったとき、イベントに呼んでもらって、いつもの歌を歌って笑顔でパフォーマンスして帰るという時期は過ぎたかなと思って。私たちの世代のやるべきことは、今までお世話になった人たちに貢献し、未来のある子供たちに向けた発信をしていくことじゃないかと思ったんです。

喜多村:閉塞感があるときほど歌は勇気を与えますよね。PEACE STOCK 78’は、ご出身の広島を起点にスタートされたんですね。

島谷:ええ、私たちは子どもの頃から広島で平和教育を受けてきました。HIPPYは「語り部の会」という戦争被爆体験者がお話をする会を毎月ずっと開いています。その会も被爆3世のまで受け継がれていますが、またスタイルを変えた「ものの伝え方」、ポップで子どもの耳に入ってきやすい表現で、過去や未来を伝えていくべきときが来てるんじゃないかという話になって。

喜多村:それがPEACE STOCK=平和の備蓄というタイトルのフェスになったと。

島谷:はい、PEACE STOCKのコンセプトは反戦運動ではなく「当たり前の日常が幸せであること」を私たち自身がもっと実感すること。日本は海外から見ても魅力的な国で、文化や環境、食べ物など、興味を持って訪れてくれる訪日観光客もたくさんいるのに、自殺率が高い。いじめも多いし、今の時代、SNSばかりが自分の本音を出せる場所になって、不平不満やネガティブなことを書き込んだり、指摘はするけど意見は言えないような人も増えています。それでは荒みますよね。

喜多村:平和すぎると、ありがたさが分からなくなってしまいますよね。

島谷:そうなんですよね。私は本来、人って相手の目を見るだけで気持ちを汲み取れる力があるし、第六感を使って地球上で起こる出来事に敏感に反応できる生き物だと思っています。そうした知らず知らず失って来たものを肌身に感じられる場所を本気で作りたいと考え、開催したのがPEACE STOCK 78’なんです。

「PEACE STOCK」というワードを世界の共通語にしていきたい

喜多村さんはオブザーバーとしてPEACE STOCKを支える

喜多村:78という数字は、世界で唯一日本が原爆を落とされて、そこから78年という意味でしたっけ?

島谷:そうです。ふつうのフェスなら開催回数を付けるんでしょうけど、私たちのおじいちゃん、おばあちゃんたちがゼロから元気と希望を絶やさず築いてきたこの街で、78年間平和が続いてきたんだよということをカウントアップしていきたいと思って。「平和教育」というと、何か恐ろしいもので、膝に手を置いて聞かないといけないイメージがあると思いますが、私の親戚やおばあちゃんから受けた平和教育というのは、決して暗いものではない。「そりゃあ、大変だったよ」と明るく語るんです。それは今が明るいからなんですよね。

喜多村:原爆が落ちた当時は、何十年もぺんぺん草1本生えない被害だと言われていましたよね。でも、すぐ復興が始まっていたんでしょうか?

島谷:私には想像でしかありませんが、変わらない生活を続けてくれたんだと思います。環境や職業が変わったり、大変なことは本当にたくさんあったと思うのですが、それでも命があればこそだと。原爆を落とされた街というのは広島と長崎しかないわけで、もちろん怖ろしいことだからネガティブに見られることもあるのでしょうけど、今年で79年、これほどの復興を遂げているのはすごいことだと思います。

喜多村:原発事故以来、福島でももう一度自分たちの土地を取り戻そうとされている方々がいらっしゃると思うのですが、世界中であのような復興を見せている例はほかにないですよね。PEACE STOCKは、今後、どのように展開されているんでしょうか?

島谷:私たちは、「ピースストック活動」と言っているのですが、音楽フェスはその活動の開幕イベントなんですよね。みんなでアクションを起こし、その町の方々や自治体や企業にご協力いただいて開幕イベントを行ない、1年間、このプロジェクトが地域のためにマンパワーを貸して、地域のコミュニケーションを活性化する。例えば災害があればボランティアとして駆けつけ、義援金も募ります。そうした仕組みがPEACE STOCKなんです。

これから日本全国、大なり小なり活動を広げていこうと思っていますが、台湾をはじめ、海外の方からも興味を持っていただいていまして、PEACE STOCKというワードを世界の共通語にしていきたいな、というのが私のささやかな目標になっています。

喜多村:今年は広島以外でも開催されますね。

島谷:ちょっと拡がるスピードが早いことに驚いていますが、広島、東京、長崎でもやります。それと、能登半島地震の義援金を秋に一旦締めて、石川県に表敬訪問する予定でいます。

自分のできることをコツコツ重ねることが、世界への影響力にもつながる

「広島出身の私には平和への願いを伝える使命がある」と島谷さん

喜多村:いま、戦争や災害で世界が不安定な時代になっています。先ほどの平和教育や復興の話もそうですが、僕はそうした時代だからこそ、日本人の素晴らしさが欧米や世界の人たちに明確に伝わっているように思うんです。島谷さんは、日本が世界へポジショニングを取るにあたって、どんな人財が求められると思いますか?

島谷:人間味のあふれる、行動力のある人が求められると思っています。私が芸能活動を25年やってきた中でも、行動力がある人は強いなと感じていますし、こんな時代だからこそ、不器用でも走れる、前を向いて行動に移せる人が強いんじゃないかと。

喜多村:業界的にもそういう人が求められるわけですか。

島谷:やっぱり人間性ですよね。人間性が見える人は愛されるし、求められると思います。それと、日本人という点では、コツコツと努力できるのが強みだと思いますし、それを重ねることが、どの時代でも世界に影響力を与えられることにつながると思いますね。私自身、この時代、この日本に生まれた「当たり前」に感謝して、自分のできることをやっていきたいなと思っています。

喜多村:今の時代、ラクして大金を掴みたいとか、有名になりたいという人も多いじゃないですか。島谷さんのように歌手でメディアで活躍されている人は、すごく輝いた場所にいるように見えるんですが、表には出さないだけで、いろいろ大変な思いがあるんだと想像するのですが。

島谷:まあ、人間ですから。どこか人間とかけ離れているように見ていただく夢のあるお仕事ではあるんですけど、今回、PEACE STOCKを立ち上げて本当に思うのは、私たちが安全に、照明の当たったステージに立てるのは、スタッフがどれだけ大変な思いをしてくれてるのか…本当にそうした苦労を実感しています。私は一人になるとすぐテンション低くなって落ち込むタイプですから、一人で暗くならないように、誰かにいつも会おうって思っています(笑)

喜多村:そうなんですか。やはり10代、20代とは見え方が変わった部分もあるんでしょうね。

島谷:ありますね。ふだん芸能活動をしていると何も変わっていない気でいるんですが、でも後ろを振り返ると、私もいい歳の大人なんだよなって思います(笑)。そういう意味では、私の同世代は、お母さんとして日々子どもを守って教育して、という活動が大事ですし、私は子供がいないので、いないからこそできる子どもたちに向けた環境づくりに動いていこうと。個人的には、そうした思いも原動力になっていますね。

島谷ひとみ (しまたに ひとみ)
1980年9月4日生まれ、広島県出身。1997年『第1回ザ・ジャパン・オーディション』の歌手部門での合格を機に芸能界入り。「亜麻色の髪の乙女」のカバーがヒットし、以降、女優としても活動。2023年には同郷のアーティストHIPPYとともに音楽で平和を発信する「PEACE STOCK 78’」を開催し、17組のアーティストが出演。

【イベント情報】
PEACE STOCK 79’ スケジュール
■6月29日(土)
PEACE STOCK 79’ NAGASAKI 2024 長崎ハウステンボス特設会場
■8月17日(土)〜18日(日)
PEACE STOCK 79’ TOKYO 2024 東京お台場R地区特設会場
■9月22日(日祝)
PEACE STOCK 79’ HIROSHIMA 2024 ホットスタッフフィールド広島
公式サイト
https://peacestock.jp/

喜多村豊(きたむら ゆたか)
一般社団法人 公開経営指導協会 理事長
株式会社ティーケートラックス 代表取締役社長
学校法人早稲田実業学校 評議員理事・校友会副会長(2003年〜2022年)
公益財団法人音楽鑑賞振興財団評議員

一般社団法人 公開経営指導協会
東京都中央区銀座2-10-18 東京都中小企業会館内
03-3542-0306
URL: https://www.jcinet.or.jp/

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