東京會舘本舘がおよそ4年ぶりに新装オープンしました。歴史を刻む名物メニューに新メニューが加わり、伝統の進化を楽しみながら、新たな息吹も味わうことができます。フォトジェニックでレベルも高い、新スイーツにも早くも人気と注目が集まっています。
銘菓「マロンシャンテリー」を生んだ東京會舘がモダンに若返り
2019年1月9日、約4年がかりの全面リニューアルを経て東京會舘本舘がグランドオープンしました。「新しくて伝統的」をコンセプトに、レストランは従来の6店舗(ショップ含む)に新たに2店舗が加わりました。

同舘は1922(大正11)年に民間初の社交場として開場。初代本舘はルネッサンス様式の荘厳な佇まいの洋風建築で、当時はまだ珍しかった本格的フランス料理を提供して話題となりました。戦後は、皇族方の結婚披露宴や午餐会、公賓や国賓のレセプションなどが催される、格式ある複合施設としても名を馳せます。
2代目本舘の竣工は1971(昭和46)年。初代とは異なる、モダニズム建築を取り入れた近代的な建物に生まれ変わりました。そして、今回が3代目。ファサードの豪華さ、美しさが目を引き、初代と似通う趣も見て取れます。
伝統と格式を誇ってきた東京會舘の名物スイーツと言われて多くの女性が思い描くのが、気品あふれる「マロンシャンテリー」ではないでしょうか。初代製菓長が編み出した、「東京銘菓」とも言えるスイーツです。


マロンシャンテリーは、新設されたオールデイダイニング「ロッシニテラス」で楽しめるほか、ペストリーショップ「スイーツ&ギフト」でテイクアウトできます。「スイーツ&ギフト」にはさまざまな持ち帰り用のスイーツが揃っており、注目の新商品に「ひょうたんシュークリーム」があります。
縁起のいいひょうたん形スイーツやお得なアフタヌーンティーが登場
ひょうたんは古くからお守りや魔除けに使われる縁起ものであることから、新商品のモチーフとしたそうです。サックリとしたパイ生地のシュー(皮)とたっぷりカスタードクリームの分量比がちょうどよく、チョコレートの小気味良い食感も効いています。カスタードクリームの芳醇なコク深さは、さすが東京會舘、と言いたくなります。フォトジェニックで縁起もいいので、手土産にも喜ばれることでしょう。また、同様の形をした「ひょうたんチョコレート」も新販売され、早くも人気を博しているそうです。

前述のマロンシャンテリーは、再び、お堀の緑を眺めながら食べられる日を心待ちにしていた人も多いのではないでしょうか。「ロッシニテラス」は、ダイニング、カフェ、バーの3つのスペースに分かれていて、ダイニングはテーブルスペースをゆったりととっています。カフェスペースのスタイリッシュで座り心地の良いソファーは、各々デザインが異なり、全て特注だそうです。


また、ここで外せない新スイーツに、「アフタヌーンティー」と「大人のパフェ」が挙げられます。

アフタヌーンティーは、スコーンやマカロン、タルトほか見た目にも楽しい各種スイーツに、フォワ・グラ ムースのエクレアといった東京會舘ならではの一品も楽しめます。飲み物はお代わり無料で、種類もメニュー内で自由に変更できるというお得なメニュー。季節ごとに内容が変更され、3月は「桜のアフタヌーンティー」を予定しているそうです。
「大人のパフェ」は2種類で、「抹茶マロンパフェ」と「チョコレートパフェ」。名のごとく大人感あるシックな色合いですが、「抹茶マロンパフェ」ではモンブランクリームの下に抹茶アイスが隠れていたり、「チョコレートパフェ」ではキャラメルソースに洋梨を合わせていたり、さまざまな味わいや食感のコントラストを堪能できます。

いずれも、マロンシャンテリーに見られる、同舘のスイーツの高いレベルが実感できることでしょう。
外せない至高の名物、欧風カレーとローストビーフがより多彩に
東京會舘で外せない名物料理に、欧風カレーとローストビーフが挙げられるでしょう。グランドオープンに伴い、内容が一部リニューアルされ、より多彩になりました。
カレーは人気のビーフカレーに加えて、グリル野菜カレー、伊達鶏のグリルカレー、岩中豚ロースカレーなど、全7種類に増えました。また、12種類の薬味にブルーチーズやビーツの酢漬けなどが新しく登場。白い小さな器に盛られた薬味の色合いやディスプレイも華やかで、食欲をそそります。

完成まで3日かかるというこの名物カレーは、玉ねぎを細かく刻み、甘みを最大限に引き出すまで炒めるのに1日、そこにカレー粉と特製ブイヨンを加えて煮込むこと1日、さらに1日寝かせます。ビーフカレーは、極上のフィレ肉を使用。肉汁ごとカレーソースになじませて味わい深さを引き出しており、濃厚なコクと旨みの奥行きに、12種類の薬味が味わいのバラエティーを無限大に広げます。
また、東京會舘を代表するスペシャリテ「ローストビーフ」が、気軽に楽しめるランチセット(4500円)でお目見え。ローストビーフ丼(3800円)、ローストビーフサンド(2800円)、ローストビーフサラダ(2400円)なども加わり、カジュアルに伝統の味に親しむことができるようになりました。
併設の「ローストビーフ&グリル ロッシニ」では、これまでと同様にローストビーフをアラカルトやコース料理で提供します。インテリアは「ロッシニテラス」よりも重厚な雰囲気で、オペラスタイルの「劇場」をコンセプトとしているといいます。


「ローストビーフ&グリル ロッシニ」ではこれまでローストビーフに国産牛を使用してきましたが、グランドオープンに寄せて脂肪分の少ない赤身のUSビーフに変更しました。低温で4時間かけて焼き上げた後に寝かせてじっくり火入れし、絶妙なロゼピンクに焼き上げます。
国産牛よりもあっさり目の味わいのため、合わせるソースはとろみのついたグレイビーソース。このソースが、USビーフの特質との相乗効果を緻密に計算していると感じられるほどマッチ。噛むほどに滲(にじ)み出る軽やかな赤身の旨みが、ソースと相まって口福なひと時を与えてくれます。お客様の目の前でカットするこれまでの流儀も健在です。

挙式即決必至?皇居や日比谷公園を一望するチャペル
新装オープンで一番変化した点は、内装が伝統を継承した上質な空間ながら、若い年代層の人たちにとっても抵抗感のない軽やかさを擁するようになったことでしょう。それはレストランにも当てはまり、全店でシェフが入れ替わり、総調理長統括の下「新しくて伝統的」な一面に力を入れる様子がうかがえます。

新設されたレストランに、鉄板焼き「TOKYO KAIKAN 會」があります。鉄板焼きは初登場。厳選した和牛や新鮮野菜、海の幸を「レストラン プルニエ」で経験を積んだ料理人が目の前で焼き上げます。
「レストラン プルニエ」は、同舘の名を広く知らしめたフレンチレストランです。そのスペシャリテ「舌平目の洋酒蒸 ボンファム」は、著名人のファンも多いとか。今回新しく、外部からシェフを招聘。フランスの三ツ星レストランで本場の味を習得してきた松本浩之氏が腕を振るいます。

また、印象が大きく変わった施設のひとつにチャペルが挙げられます。以前は外の景色が見えませんでしたが、新しいチャペルは祭壇の背後一面に皇居や日比谷公園の豊かな緑が広がる絶景が望めます。

木格子とその合間から差し込む自然光は、空間の美しさを際立たせています。東京會舘の広報担当者は、「チャペルを気に入ってここでの挙式を決める人が増えました」と話します。大小、最大10室の宴会場が設けられ、各々の部屋に皇居に咲いている花の名前がつけられています。
多くのストーリーを持つ伝統を楽しみながら、新たな息吹も楽しめる新生東京會舘。より幅広い年齢層の人たちの憩いの場となることが期待できそうです。
【東京會舘本舘】
東京都千代田区丸の内3-2-1
日比谷線「日比谷駅」・有楽町線「有楽町駅」・千代田線「二重橋駅」B5出口直結、JR「東京駅」6番出口から徒歩3分、JR「有楽町駅」国際フォーラム口から徒歩5分
<ロッシニテラス>月~金曜10時~21時30分(FOOD L.O.)〜22時(DRINK L.O.)、土日祝10時〜21時(FOOD L.O.) 〜21時30分(DRINK L.O.)
<ローストビーフ&グリル ロッシニ>昼/11時30分〜14時30分(L.O.) 夜/平日17時30分〜21時30分(L.O.)、土日祝17時30分〜20時30分(L.O.)
<スイーツ&ギフト>10時〜20時
※掲載の価格は全て税・サ10%別、2019年1月時点の情報です。