天王洲が令和のシリコンバレー化⁉ 倉庫をリノベーションしたインキュベーション施設に、スタートアップやベンチャーが今集結する理由

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水辺とアートの街として知られる天王洲。一方で羽田空港や品川駅に近いことから、利便性を活かした事業開発拠点としても注目を集めつつあります。天王洲はどう変わろうとしているのか。天王洲でスタートアップやベンチャーを集めるプロジェクトを覗いてみました。

天王洲といえば、近年は倉庫をリノベーションした「水辺とアートの街」として、アーティストやクリエイターが集うエリアになりつつあります。しかしその一方で、古い建物を再利用し、ビジネスイノベーションの拠点としての可能性を模索する動きも見られるようになっています。

天王洲にはパブリックアートやミュージアム、ギャラリーコンプレックスがあり、日常的にアートを感じられる。(出典:寺田倉庫)
運河沿いのボードウォークや広場では、水辺空間をビジネスイノベーションに活用する実証実験も進む。(出典:寺田倉庫)

こうした取り組みを支援するプロジェクトもあります。その1つが「Isle of Creation TENNOZ」です。これは、天王洲をスタートアップの実験基地とし、企業と街が共創するエリアになることを目指すプロジェクトです。創業したての企業が天王洲に集まるといった魅力的な取り組みになります。

「Isle of Creation TENNOZ」は2つの事業で構成します。1つは、インキュベーション事業の「Creation Camp TENNOZ」です。スタートアップやベンチャーに対し、施設を最大2年間無償提供します。さらに支援企業からのアドバイスやアセットも無償で提供されます。事業を軌道に乗せるための場(ハード)と、メンターからのアドバイス(ソフト)の両面をセットで無償提供するのが特徴です。

施設のイメージ。(出典:寺田倉庫)
施設内では入居する企業同士の交流による共創も視野に入れる。(出典:寺田倉庫)

なお、無償提供される施設は倉庫をリノベーションした場所を使うとのこと。従来からある施設を再利用するあたりが、これまでの良き天王洲を残すことにつながるのではと感心させられます。施設には創業期メンバーが2人から5人程度のスタートアップが最大10組入居できるそうです。スタートアップ同士が互いに切磋琢磨しながら、2年間集中して事業化に向けて取り組める環境を提供します。

「Creation Camp TENNOZ」の一期生となるスタートアップを4月17日から5月31日まで募集しています。条件を満たしさえすれば、すべての産業・技術分野のテーマが対象となります。一次選考と二次選考、最終選考を通過した企業が施設に入居できるようになります。

もう1つの事業は「Creation Hub TENNOZ」。これは、天王洲エリアでスタートアップやベンチャーを誘致するワークプレイス事業です。「Creation Camp TENNOZ」を卒業したスタートアップや、より広いオフィスが必要になったベンチャーを対象に、天王洲のワークスペース環境を提供します。10人から200人規模の企業で受付や会議室を共有し、低コストで快適なオフィス環境を提供できるようにします。

ちなみに天王洲エリアには現在、オープンイノベーションの拠点となる「JAL Innovation Lab」(寺田倉庫 G1ビルの1階)があります。さらに2024年5月には、サツドラホールディングスが運営するリージョナルインキュベーションオフィス「EZOHUB TOKYO」もオープンする予定となっています。こうした施設を低コストで利用できるようにし、ベンチャーの成長を後押しするといいます。

企業誘致によって生まれ変わろうとする天王洲。スタートアップやベンチャーが集まる活気ある街になるのか、楽しみです。

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