昔から、さまざまな土地の素材を使い、職人が作りあげ、人々に親しまれてきた伝統工芸品。食器や家具、きもの、文具など、どれも日本人にとって身近なものばかりです。新しいものは便利な機能を持っているのは確かですが、伝統工芸品には時代を経ても色あせない魅力があります。今回、古くから伝統を引き継いできた約50の工房が一堂に会し、日本の工芸品が集まる催しが東京の日本橋で開かれることがわかりました。数多くの工芸品だけでなく、たくさんの職人の方も来場し、目の前でその技術を見られる製作実演も行われるこの催し、「和」に興味があるなら、ぜひ足を運んでみてください!
今回の催しが開かれるのは、東京・日本橋の高島屋。「~この道ひとすじ~ 日本の伝統展」と銘打たれた本イベントは今年で43回を数え、毎回多くの方が訪れる人気の催しです。ここで取り上げられる伝統工芸品はどんなものか、その一部をご紹介しましょう。
平安時代より続く甲冑師の家系・明珍(みょうちん)家で53代もの長きにわたり受け継がれてきた鍛造技術による火箸風鈴。火箸同士が触れ合うことで、妙なる音を響かせます。置物や花器など、その鉄製品の数々は他にはない秘伝の技の集結によるものです。明珍家の鍛造技術と洗練された作品は世界からも高く評価され、その家名と技術をさらに磨き上げています。
1972年創業の「福井洋傘」による超撥水雨傘『ヌレンザ』。一見、ダジャレのようなネーミングですが、蓮の葉の表面構造を参考にし、傘表面にほとんど水滴が残らない作りを実現した技術の粋の詰まったアイテムなんです。軽量な薄い生地、丈夫なカーボンの骨組みで、雨の日も晴れの日と同じくらい楽しくなる一品で、福井県が誇る繊維産業、鯖江のメガネフレーム技術がこれを可能にしています。
江戸切子界の名工・篠崎清一氏が1957年にオープンし、現在2代目の英明氏と3代目の翔太氏が受け継ぐ「篠崎硝子工房所」。江戸時代後期から続くガラス製品の江戸切子は、深い溝で自然光を屈折させることで反射効果などを持たせる、江戸の粋を表した伝統技術です。そのなかでも、この「篠崎硝子工房所」の作品は、最高峰のクリスタルガラスを使用し、美しい輝きと洗練されたカットで暮らしのさまざまなシーンを贅沢に彩ってくれます。
伝統工芸品の展示、販売に職人による製作実演、書道家による揮毫のパフォーマンスなど、和の魅力を存分に感じられるこのイベント、ぜひ会場に足を運んで、古き良き日本の技術の息吹を感じてみてください。
【イベント情報】
第43回~ この道ひとすじ ~日本の伝統展
東京都中央区日本橋 2-4-1 日本橋高島屋S.C. 本館8F
03-3211-4111
2024年5月15日(水曜)~5月20日(月曜)
10時30分~19時30分(最終日は18時閉場)
会期中無休