誰もがその名を知る、パリのルーヴル美術館。モナ・リザ、ミロのヴィーナス、サモトラケのニケ……名だたる名画や彫刻がそこかしこに展示されています。美術ファンならずとも一度は訪れてみたいアートの宝庫です。そんなルーヴル美術館の中でも、知る人ぞ知るエリアが「カルコグラフィー室」。今回、東京の八王子にてこの「カルコグラフィー室」の名作たちと出会える展覧会が開催。一体、どんな作品と出会えるのでしょうか?
ルーヴル美術館のグラフィック・アート部門の一角を担う「カルコグラフィー室」の存在は、名だたる美術品たちに比べてあまり知られていないかもしれません。カルコグラフィーとは、ギリシャ語で「銅(カルコス)に描いたもの」という意味。ルーヴル美術館では銅版画とそのコレクションを原版とともに保存し、それをもとに版画を刷る場所を意味します。
ルーヴル美術館の「カルコグラフィー室」は、太陽王ルイ14世がフランス王家の権勢を国内外に知らしめるため、壮麗なイベントや王宮などの建築物、芸術作品、植物図鑑などの学術研究を銅版画によって記録することを奨励したことに始まります。複製・複写という側面において、写真技術誕生以前の版画は、欠くことのできない重要なメディアでした。版画を印刷することで、王室の権威や文化をより広く、そして正確に伝えることができたのです。
その後、王政が終焉を迎えると「王の版画原版収集室」、「王立絵画彫刻アカデミー」のコレクションなどが統合され1797年に現在の「カルコグラフィー室(国立カルコグラフィー室)」が誕生します。版画技術の保存、ルーヴル美術館の貴重な名画を版画化するという役割を改めて担うようになり、20世紀に入ると、現代作家による新作も加えながらコレクションはさらに拡充を続けています。
本展覧会では、ルーヴル美術館の「カルコグラフィー室」の銅版画コレクション約13000点の中から、日本での特別公開のために、当時の版を使い刷られた銅版画100点余りを公開。当時の技術で緻密に刻まれた銅版から生み出される、繊細で美しい作品の数々。普段はなかな目にすることのない、貴重な銅版画を通して、フランスの歴史と文化、そして芸術の奥深さを体感できる貴重な機会になるはず。
チケットは一般800円、学生(高校生以上)と65歳以上のシニアは450円(すべて税込)で、中学生以下は無料と、1人でも、家族連れでも気軽に楽しめます。
知られざるルーヴル美術館のカルコグラフィーを通して、フランス、さらにはヨーロッパの文化や歴史をより身近に感じられるに違いありません。この機会にぜひ、奥深いフランス芸術の世界に触れてみてはいかがでしょうか?
【イベント情報】
八王子市夢美術館「ルーヴル美術館の銅版画展 La Chalcographie du Musée du LOUVRE」
東京都八王子市八日町8-1ビュータワー八王子2F
042-621-6777
2024年6月28日(金曜)〜9月1日(日曜)
チケット一般800円、学生(高校生以上)と65歳以上のシニアは450円(すべて税込)。
10時~19時(入館は閉館の30分前まで)月曜休館。月曜が祝日の場合は開館し翌火曜が休館。