東京都には約2,000社の神社があると言われています。初詣や祈願成就で参拝したり、散歩がてらに立ち寄ったりと神社に行く機会は何かと多いのでは。本シリーズでは写真家の石津祐介さんが、神社の見どころや土地とのつながり、オススメの授与品を紹介し、神職の方からお話を伺います。第3回は「代々木八幡宮」です。
鎌倉時代から続く八幡神社

山手通りに面した小高い丘に鎮座する代々木八幡宮。鎌倉時代に創建され、境内には縄文時代の遺跡もあり、古来から人々が集う場所だったといいます。今回は、宮司の平岩小枝さんに神社を案内していただきました。
「代々木八幡宮は、暗殺された鎌倉幕府二代将軍の源頼家の菩提を弔うために、頼家公の家臣の家来が出家して、この地にお宮を創建したのが始まりと伝わっています」(平岩さん)

口コミで大人気の出世稲荷社
代々木八幡宮の本殿には、主座に八幡さまである応神天皇、配座の天祖社では天照大神(アマテラスオオミカミ)、白山社では白山媛神(シラヤマヒメノオオカミ)をお祀りしています。
別宮では稲荷社の豊受大神(トヨウケノオオカミ)、天神社の菅原道真公、榛名社の日本武尊(ヤマトタケルノミコト)をお祀(まつ)りし、末社の出世稲荷社では出世稲荷大明神をお祀りしています。
その中でも「出世稲荷社」は、とくにご利益があると口コミで多くの人が集まり、参拝客の長い行列ができたといいます。
「出世稲荷社は、戦災で焼け残った稲荷神社の祠を氏子の方が当社に持ち込んだのが始まりなのですが、メディアに紹介されてから多くの方がお参りに来るようになりました。一時は、お守りも売り切れるほどの人気でしたね」(平岩さん)

境内に残る古代の住居跡
境内には「代々木八幡遺跡」があり、出土された発掘品や復元された古代住居などがあります。
「5,000年前、山手通りの辺りはまだ海でした。この神社がある場所は、海に突き出た岬の高台で集落がありました。やがて海が引いた土地には塩分が残り農耕には向かなかったようで、弥生時代には別の場所に移ったようです。戦後、雨で地面が削れた際に土器が出てきたので発掘調査が行われました」(平岩さん)


人気の授与品や御朱印をいただこう
お守りは厄除開運、身代り、仕事、学業成就、心願成就、安産などがあり、お守袋に入れてもらい授与されます。また木製のご朱印帳も人気です。
「ご朱印帳には、鎌倉幕府の御成敗式目に書かれた『神は人の敬により威を増し 人は神の徳により運を添う』の一文を記しています」(平岩さん)



ゆったりとした時間を過ごしてほしい
何十年も通い続けている熱心な参拝者も多いという代々木八幡宮。参拝について宮司の平岩さんに聞いてみたところ「せっかく参拝に来ていただいたので、ゆっくり時間を過ごしてほしいと思います。神社の杜は植林ではなくこの地で自然に育った木々ですので、四季も感じられると思います。願いが叶いましたら、ぜひ神様にご報告いただければと思います」とのことでした。

【スポット情報】
代々木八幡宮(よよぎはちまんぐう)
東京都渋谷区代々木5- 1-1
☎ 03-3466-2012
営業時間:9時~17時
アクセス:小田急線 代々木八幡駅より徒歩5分
東京メトロ 千代田線 代々木公園駅より徒歩6分