テレワーク時代でも出社したいオフィス!小松ウオール工業株式会社

  • URLをコピーしました!

テレワークが一般的になった今、「社員が出社したくなるオフィスとは?」という問いは、多くの企業にとって重要なテーマになっています。筆者自身もテレワーク中心の働き方になり、長い移動時間をかけてまでオフィスへ行く意味を以前ほど感じなくなっていました。

そんな疑問を持ちながら、創意工夫に富んだオフィスづくりを表彰する「日経ニューオフィス賞」を見ていた際に、ひとつのオフィスが目に留まりました。
それが、小松ウオール工業株式会社の「101 TOKYO SHOWROOM OFFICE」です。
可動式の間仕切りを活用しながら、実際に社員が働く姿そのものが、製品の使い方や価値を伝える空間になっているとのこと。単なる“おしゃれなオフィス”とは少し違う印象を受けました。

実際にどのように使われているのか、そうした空間は働き方にどんな影響を与えているのか、小松ウオール工業株式会社へ話を聞いてみました。

目次

働きながら試し、価値を生み出す「101 TOKYO SHOWROOM OFFICE」

「101 TOKYO SHOWROOM OFFICE」は、一般的なオフィスとは一線を画す“体験型オフィス”です。
オフィス内には、小松ウオール工業が手がける間仕切りが計101種類組み込まれており、オフィス・学校・病院など多様な用途に対応する製品を、“展示”ではなく“実用”として体感できます。
同社が「新しい空間価値をつくる会社」へと進化していくための拠点として、2021年に誕生。さらに2024年の増築・新エリアのグランドオープンを経て、より実践的な場へと進化しています。

デザインと技術が共存する、“見せながら使う”オフィス空間

小松ウオール工業の101 TOKYO SHOWROOM OFFICE。木質デザインの空間で、ショールーム機能を備えた体験型オフィス。

オフィス全体は、開放感のあるレイアウトをベースに、素材感を活かした床や壁面、統一感のある家具によって構成されており、どの場面を切り取っても洗練された空間が広がっています。
ただ、「101 TOKYO SHOWROOM OFFICE」の特徴は、単に“おしゃれ”なだけではありません。
オフィス内には、レイアウトを自由に組み替えられるフレキシブルエリア、大型移動壁を実際に動かせるエリア、素材や構造を体験できるプロトタイプエリア、遮音性の高い個室ブースエリアなど、用途の異なるさまざまな空間が設けられています。

ここからは、「101 TOKYO SHOWROOM OFFICE」で筆者が特に注目した5つのエリアを紹介していきます。

可動式の間仕切りパネルcorocoroで自由にレイアウト変更ができるオフィスのフレキシブルエリア
可動式の間仕切り「corocoro」を動かし、用途に合わせて自由にレイアウトを変えられるフレキシブルエリア

レイアウトを自由に組み替えられるフレキシブルエリアです。
この空間の特徴は、可動式の間仕切りを手軽に移動させながら、その時々の用途に合わせてレイアウトを変えられる点にあります。
提供いただいた写真を見ると、空間の中には細いフレーム状の間仕切り(corocoro)が複数配置されています。一般的な「壁」のような重厚さというより、家具を動かすような感覚で扱えそうな軽やかさがあり、必要に応じて空間の使い方を柔軟に切り替えられる構成になっていることが伝わってきます。
例えば、少人数での打ち合わせ用に区切ったり、複数人が集まるオープンな場として使ったりと、固定された会議室では難しい使い方にも対応できそうです。

スタッフが大きな可動式の大型移動壁を動かしているオフィスの展示エリア
スケール感を肌で体験できる、ホテルや展示施設向けの大型移動壁エリア

ホテルや展示施設などで採用される大型移動壁を、実際に体験できるエリアも設けられています。
提供いただいた写真では、左側でスタッフが大型の壁を動かしている様子が確認できます。
空間を区切る“建物の一部”のようにも見えるサイズ感だからこそ、「こんな大きな壁が本当に動くのか」と、そのスケール感の大きさが伝わってきます。
実際に働くオフィスの中で、こうした大規模な壁が動く様子を日常的に体験できる点は、この空間ならではのユニークさだと感じます。

さまざまな種類の間仕切り素材が衣装棚のように並ぶプロトタイプ見本エリア
さまざまな間仕切り素材を実際に触って“比較しながら試せる”プロトタイプエリア

オフィス内にある「プロトタイプ(見本)エリア」は実際のマテリアルの素材や構造を体験できるエリアです。
ここでは、さまざまな種類の間仕切り素材が、まるで衣装棚のように並べられており、実際に動かしたり触れたりしながら違いを体験できるようになっています。
ガラス、パネル、フレームなど、それぞれ質感や見え方、操作感が異なるため、単に一覧で展示するのではなく、“比較しながら試せる”構成になっている点が印象的です。
図面やカタログだけでは、「どれくらい透けるのか」「どんな重さなのか」「どう動くのか」といった感覚的な違いまではなかなか分かりません。
一方このエリアでは、実際に手を動かしながら確認できるため、素材ごとの特徴を直感的に理解しやすくなっています。

小松ウオール工業の遮音性能に優れたガラスパーテーションで作られた会議室
開放感と高い遮音性を両立した、ガラスパーテーションで作られた会議室

高い遮音性能とガラスを使ったエリアでは、開放感と機能性を両立した空間づくりが行われています。
透明感のあるガラスによって視線が抜けるため、空間全体には広がりが感じられる一方で、実際には高い遮音性能を備えており、外から見る印象以上に落ち着いた打ち合わせ環境になっているようです。
また、左上に見える特徴的なシャンデリアにも、小松ウオール工業らしいこだわりが込められています。
これは、同社製品での部材で最も多く使用されているスチールパーティション用の「40mm角ポール」という素材から連想してデザインされたもの。単に装飾として配置するのではなく、自社製品の特徴をさりげない形で空間デザインに落とし込んでいる点からは、細やかなこだわりや遊び心が感じられます。

ガラス張りで開放感がありながら適度に視線を遮るオフィスの個室ワークブース
オンライン会議や集中作業に最適な、異なる仕様を持つ6部屋の遮音性個室ブース

さらに、オフィス内には遮音性の高い個室ブースが6部屋設けられています。
提供いただいた写真の右側では、実際に個室ブース内で作業している様子が確認できます。
ガラス張りの開放感がありながらも、内部は周囲の視線や音を適度に遮る構成になっており、オンライン会議や集中作業にも対応できる空間になっています。また、6部屋はそれぞれ異なる仕様で作られており、遮音性能の違いも体験可能。なお、こうした個室ブースは、増築・リニューアル時に社員の声を反映しながら整備されたエリアのひとつとのこと。実際の働き方や日々の困りごとを踏まえながら、空間づくりが行われていることがうかがえます。

こうした空間を実現しているのが、小松ウオール工業の技術基盤です。石川県に本社を構え、全国50拠点以上を展開する同社は、設計・製造・販売までを一貫して手がける間仕切りの専門メーカー。オーダーメイド製品を短納期で全国に供給できる体制を強みに、業界トップクラスのシェアを誇ります。オフィスや学校、病院といった日常空間から、ホテルや国際展示場などの大規模施設まで、私たちが日々利用する空間を支える役割を担っています。

細部まで問い続けた、デザインへのこだわり

このオフィスの先進的なレイアウトやデザインは、決して一朝一夕で決まったものではありません。このオフィスはワークショップを通じて社員全体の意見を取り入れながら作られたとのこと。
当然ながら、意見を集めれば集めるほど、簡単にまとまるわけではありません。取り入れすぎれば方向性がブレてしまい、かといって意見を引き出せなければ意味がない。小松ウオール工業の担当者は、当時をこう振り返ります。

「コロナ禍でオンライン会議が中心だったので、議論の“緩急”をつけるのが難しかったです。言いづらい雰囲気をつくってしまうとアイデアは出ないし、一方で“これはやるべきだ”と判断した場合には、リーダーとしてあえて強く意思を通したこともありました。ただ、そうしたやり取りを重ねる中で、徐々に信頼関係が生まれ、良い議論ができるようになっていったと記憶しています」

コンセプト「Komatsu Wall 101」に込められた思想

多くの議論と試行錯誤を重ねたプロセスの先にたどり着いたのが、コンセプト「Komatsu Wall 101(ワン・オー・ワン)」。
この名称には、小松ウオール工業の強みを起点に、その先の価値へと踏み出していくという意思——いわば「beyond the wall(壁の先へ)」という思想が込められています。
「101」という言葉には、3つの意味があるとのこと。

① 小松ウオールの101(入門編)
 101は、英語で入門編という意味を持つ数字。小松ウオール工業を知ってもらう入口となるという意味。
②101のバリエーション
 101個の製品で構築されたショールームオフィス、お客様と今後102個目の製品開発を目指してという意味。
③ 1on1のおもてなし
 お客様を1対1で丁寧におもてなしすることで帰ってもらった後も小松ウオール工業を思い出してもらえるようにしていこうという意味。

このコンセプトを体現するのが、オフィス内を斜めに走る大きな壁「Komatsu Wall」。
この象徴的な壁が、ダイナミックに開閉することで、「ここならどんな要望にも応えてくれそうだ」——そんな期待感や可能性を、直感的に感じさせるような仕掛けになっているようです。

開閉することで受付エントランスが現れるオフィス内の大きな移動壁Komatsu Wall
ダイナミックに開閉し、オフィスの可能性を広げる象徴的な大壁「Komatsu Wall」

では、実際に働く社員や、オフィスを訪れた取引先はどのように感じたのでしょうか。

空間が生み出した変化――社員と取引先のリアルな反響

「101 TOKYO SHOWROOM OFFICE」の完成後、最も大きく変わったのは、社員の意識と社外からの評価でした。空間そのものが、人の行動や判断に影響を与える——その事実を実感する出来事が、いくつも生まれています。

社員の意識を変えた、“この空間で働く”という実感

完成直前に行われたミーティングでは、社員の間にこれまでにない前向きな空気が漂っていたといいます。
「このオフィスをどう活用していくか」「この空間でどんな価値を生み出せるか」——そうした働くことへのモチベーションや覚悟のようなものが感じられたそうです。
実際に、このオフィスを見学したことが入社の決め手になった社員もいます。洗練された空間や設備に触れ、「ここで働きたい」と強く感じたことが意思決定につながったといいます。空間そのものが、企業の姿勢や未来を伝える“メッセージ”として機能している好例といえるでしょう。

“体験”が評価を変える――取引先の意思決定の変化

変化は社内にとどまりません。取引先からの評価にも、明確な変化が現れています。
担当者は「百聞は一見に如かず」を体感した象徴的なエピソードを語ります。

「これまでは、より規模の大きな企業と比較される中で、販促面で不利に見られる場面もありました。
しかし、このオフィスを訪れたある目の肥えた設計士からは、『これで良いんじゃないの?』という即決に近い言葉が返ってきました。図面やスペックではなく、実際の空間の中で製品がどのように使われ、どのように見えるのか。その体験を通じて、価値が一瞬で伝わった瞬間でした。」

こうした変化を見てみると、三現主義(現物・現場・現実)という言葉があるように、どれだけ精緻な図面や数値があっても実際の空間で現物に触れる体験には代えられないのだと感じます。

これからのオフィスに求められるものとは

では、これからのオフィスには何が求められるのでしょうか。
「101 TOKYO SHOWROOM OFFICE」を手がけた小松ウオール工業に、その考えを伺いました。

「これからのオフィスに求められることは、『帰属意識』『ほっとできる空間』『自分たちらしさ』の3つだと思います。今回のオフィスでは、ワークショップを通じて集めた社員の声をデザインに反映しました。自分たちの意見が採用されているからこそ、『どこに出しても恥ずかしくない』と思える場所になり、その実感が誇りへとつながっていくと思います。」

木製の天井格子と丸い照明がお洒落なセミナーや勉強会ができるオフィスの多目的ホール
セミナーやワークショップを行う多目的ホール

さらにオフィス内にある多目的ホールでは、建築のプロフェッショナルや次世代を担う学生たちが集い、これからの空間について語り合える建築セミナーなども継続的に開催していく予定とのこと。

「社員が出社したくなるオフィスとは?」という疑問から調べ始めた中で見つけたのが、「101 TOKYO SHOWROOM OFFICE」でした。テレワークでは、一人で集中して仕事はできても、ちょっとした雑談や偶発的な会話、新しいアイデアが自然に生まれる瞬間は少なくなりがちです。 一方、このオフィスでは、人が集まり、会話し、試しながら考える——そんなコミュニケーションや発想の広がりが生まれやすい環境が意識されているように感じました。“出社したくなるオフィス”とは、単に仕事をする場所ではなく、人と人、人とアイデアがつながり、新しい価値を生み出しやすいような場所なのかもしれません。

小松ウオール工業株式会社

可動間仕切りを中心に、製品の開発・製造・施工までを一貫して手がける専門メーカー。
オフィス、学校、病院、ホテル、商業施設など、多様な空間づくりを支えています。
主力である可動式パーティションは、空間を柔軟に仕切りながら、遮音性やデザイン性も両立している点が特徴。オーダーメイドにも対応し、利用シーンに合わせた空間提案を行っています。
今回紹介した「101 TOKYO SHOWROOM OFFICE」では、実際に社員が働く空間の中で、製品の使い方や可能性を体感できる構成になっています。

小松ウオール工業株式会社 公式サイト:https://www.komatsuwall.co.jp/
101 TOKYO SHOWROOM OFFICE:https://www.komatsuwall.co.jp/company/showroom/9.html
101 TOKYO SHOWROOM OFFICE(ニューオフィス賞紹介ページ):https://www.nopa.or.jp/prize/contents/prize/2025/komatsuwall.html

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次