日本オラクル渋谷氏が語る NetSuiteで経営者のマインドが変わる!AI時代の新規事業と意思決定に迫る

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業務にAIを活用することが前提となりつつある中、経営者はAIとどう向き合うべきか。導入効果を最大化するにはどんな仕組みが必要なのか。日本オラクル 執行役員 NetSuite事業統括 日本代表 カントリーマネージャーの渋谷由貴氏に、AI時代の経営のあり方と意思決定の変化について聞きました。さらに、日本オラクルが7月8日に開催する経営者限定ラウンジの概要も聞きました。

目次

「一歩を踏み出す勇気」がAI活用の成否を分ける

――現在、多くの経営者がAI活用に関心を示しています。しかし効果を上げる企業と上げられずにいる企業で二極化しています。その差はどこにあるのでしょうか。

渋谷:AIを使いこなしている企業とそうでない企業の差は、技術力の違いではありません。より本質的には、「意思決定の前提の置き方」にあると感じています。

日本企業の多くは、コンプライアンスやデータリスクを前提に慎重に検討を重ね、「失敗しないこと」を優先する傾向があります。一方で海外企業では、「まず小さく試し、合わなければやめる」という前提で意思決定を行います。この違いは一見小さく見えますが、AIのように進化の速い領域では決定的な差になります。つまり、AI活用の成否を分けているのは技術ではなく、「試行錯誤を前提とした経営スタンス」だと思います。

――失敗したくないという心理が、AIの活用を阻害しているわけですね。

渋谷: その通りです。日本の企業の中には、「一度導入したら最後まで使い通さなければならない」という強迫観念のようなものを感じます。こうした考え方がAI導入を躊躇わせる要因になっているのだと思います。もっとも、AIは目まぐるしく進化しています。1年前と現在ではAIでできることも大きく変わっています。つまり、AIを導入すべきかじっくり吟味しても、半年後に導き出した評価結果は何ら意味を持たないわけです。AIのような進化の早い技術は活用方法を使いながら模索、修正し、最善な方法を追求し続けるべきだと思いますね。

「隣の会社がAIを使い始めてから」と様子を見ている間に、自社はすぐ取り残されてしまいます。経営者は、「失敗してもいい。まずはやってみよう」と社員の背中を押すべきです。新しいことに挑戦する文化を育むべきです。こうした姿勢を全面に打ち出すことが、AI活用の最初のハードルになるのではないでしょうか。

写真:日本オラクル 執行役員 NetSuite事業統括 日本代表 カントリーマネージャー 渋谷由貴氏

ERPとの連携がAIの導入効果を最大化する

――AIの活用といえば、ChatGPTやGeminiを使って検索や情報収集、資料作成、文章の要約などに使うケースが目立ちます。こうした使い方自体は悪くないものの、AIの効果を最大化するにはもっと別の使い方を模索すべきではないでしょうか。

渋谷:AIを「経営の意思決定のパートナー」として活用する動きが徐々に表れ始めています。例えば、過去の膨大な案件情報をもとに将来の売上を予測したり、複雑な在庫状況から最適な補充タイミングを提案したりと、ERPのデータをAIで分析する経営者が増えています。これまではBIやDWHなどの分析環境を整備し、経営企画部門が時間をかけて売上や在庫を予測していたかもしれませんが、こうした手間や人手をかけずにAIが意思決定を支援する指標を示してくれるようになっています。

市場に出回る生成AIサービスの中には業務システムと連携し、人を介した業務を抜本的に見直せるものが増えています。例えば膨大な請求書や各種申請書類のチェックをAIに任せれば、人は「人にしかできないクリエイティブな業務」に集中できるようになります。経営者はどの業務をAIに任せるべきか、人のリソースをどの業務に集中させるべきかを考え、実施することに注力すべきだと思います。AIを単独で使うのではなく業務システムと組み合わせて活用することで、導入効果はより高まりますし、組織全体の生産性も飛躍的に向上すると思います。

――日本オラクルでは「Oracle NetSuite」というクラウドERP(クラウド型統合型経営プラットフォーム)を提供しています。AIを活用することで「Oracle NetSuite」の価値はどのように高まるとお考えですか。

渋谷:Oracle NetSuiteの最大の強みは、会計、販売、在庫、購買、CRMなどのあらゆる業務データを1つのプラットフォーム上に集約する「シングルデータソース」であることです。これらのデータを分析することで、自社に特化したインサイトを容易に導き出せるようになります。

企業の中には会計システム、在庫管理システム、販売管理システム、CRMシステムなどを別々に構築するケースが少なくありません。こうした環境でAIを使おうとすると、散在するデータを集約するだけでも多大な時間を要してしまいます。しかし、シングルデータソースであるOracle NetSuiteなら一ヵ所に蓄積する信頼性の高い自社データをもとに、何が原因か、どこに問題が潜んでいるのかなどの本質的な課題と向き合えるようになります。クラウドサービスとAIを連携するMCP(Model Context Protocol)サーバーとの接続も可能で、自然文で質問を投げかけるだけでOracle NetSuiteのデータをもとに必要な情報を探し出すことができます。

――「Oracle NetSuite」とAIを組み合わせて具体的に成果を上げている事例はありますか?

渋谷:自社ECサイトやECモールで互換トナー、インクカートリッジを中心に取り扱う株式会社キュリエ(QRIE Ltd.)様では、Oracle NetSuiteとMCPサーバーを接続し、必要な情報を瞬時に探し出せる環境を構築しています。しかも接続する手順を示したマニュアルを使い、わずか2時間で環境を構築したそうです。例えば、「昨日の売上の要因は?」とAIに聞くと、Oracle NetSuiteに集約された会計、在庫、販売、購買などのさまざまな情報をもとに分析し、即座に要因を回答してくれます。まさにAIを「経営の意思決定のパートナー」として活用している事例の1つですね。

――Oracle NetSuiteで会計や顧客、販売、在庫、購買などのさまざまな業務を管理すれば、AIによる導入効果は高くなると思います。しかし企業の中には、特定の機能しか使っていないケースも少なくないと思います。こうした企業がAIと組み合わせて効果を高めるにはどうすべきでしょうか。

渋谷:日本の複雑な税率や法制度への対応状況を鑑み、Oracle NetSuiteの一部の機能しか利用していない企業がいます。確かにこうした状況ではAIの導入効果は必ずしも高くないでしょう。しかし現在、日本独自の法制度や商習慣に照らした機能を備える国産SaaSとOracle NetSuiteを連携するエコシステムを拡大させています。「日本の法制度などに対応させるならつなげてしまえばいい」という発想で、日本の主要なSaaSと連携する環境を整備しています。

具体的には、Oracle NetSuiteと各種SaaSを接続するためのコネクタを用意。日本の法改正などに追随する機能は他社製のSaaSと連携することで補完できるようにしています。例えば日本の複雑な雇用形態や休暇制度、給与計算などを踏まえた勤怠管理システム、日本固有の商習慣や税率などを踏まえたECシステムなどと接続することが可能です。SaaSと連携するほどAIによるデータ分析対象も当然拡大し、より多くのデータに基づいた分析結果を導き出せるようになるわけです。

昨年よりプログラム化を進めているSaaSパートナーとの協業についても、日本の法律や制度改正に対して日々アップデートするSaaS企業とアライアンスを組み、国内ではすでに10社以上と連携しています。今後はこのエコシステムをさらに強化し、国内で使われている主要なSaaSとすべてつながるようにしたいと考えています。

図:Oracle NetSuiteと連携する主なSaaS一覧

経営者のマインドセットを変えない限りAI導入は成功しない

――企業がAIを使いこなす上で注意すべきことはありますか。

渋谷:AIが導き出した答えを鵜呑みにせず、本当に正しいのかと疑ってほしいですね。AIによる回答を何度も見るうちに必ず違和感に気付くようになります。この違和感を素通りせずに確認し直すことで、経営を間違えた方向に進めずに済みます。繰り返し確認し直すことで、AIによる答えの精度も高められるようになります。AIを活用するなら、回答結果を多角的に吟味して本質を探るクリティカルシンキング(批判的思考)を持って読み解くことが大切ですね。

データをどのような定義で保存しているのかにも目を向けてほしいと思います。去年と今年で同じデータでも定義が違っていたら、AIは正しい分析結果を導き出しません。データをただ溜めるのではなく、どんな定義に基づいて保存しているのかも記録し続けることが大切です。AI時代だからこそ、データの量だけではなく正確さにも徹底的にこだわってほしいと思います。

――そんなAI時代を勝ち抜くためには、経営者にどのような姿勢や心構えが求められると思いますか。

渋谷:これまでの成功体験や事業を通じて培ってきた前提を一度手放し、ゼロベースで事業を見直す覚悟が必要だと思います。

AI時代において重要なのは、単にAIを導入することではなく、AIを前提に意思決定を再設計できるかどうかです。生産性や効率性の向上はあくまで結果であり、本質は経営の意思決定のあり方そのものにあります。そのためには、これまでの延長線上で考えるのではなく、物事の捉え方や判断基準、固定観念といったマインドセットを抜本的に変える必要があります。旧来の考え方にとらわれたままでは、AIの導入効果を最大化することはできません。

従来の「管理する経営」から、「意思決定を設計する経営」へ。この転換を実現できるかどうかが、これからの企業の競争力を大きく左右すると考えています。AIは、その変化を後押しする契機にほかなりません。

経営者の意思決定の変化につながるラウンジを開催

――経営者にとって喫緊の課題はAIだけにとどまりません。とりわけ新規事業開発に悩む経営者は多いと思います。日本オラクルではこうした課題を抱える経営者向けにイベントを開催すると聞きました。どんな内容なのか、詳しく教えてください。

渋谷:既存事業で培ってきた強みをどう活かし、どの領域に踏み出すのか。その意思決定の裏側には、単なる数値上の合理性だけでは測れない期待や不安、そして経営者としての覚悟が存在していると思います。今回開催する経営者向けのラウンジでは、「ここでしか聞けない本音」をコンセプトに、経営者や役員の方々が率直に語り合える場を用意できればと考えています。本音をもとに、新規事業開発の次の一手となるヒントを模索していただけたら幸いです。

栄えある第1回目のゲストには、不動産業界で変革に挑戦し続ける株式会社ヤモリ 代表取締役社長の藤澤正太氏をお迎えします。藤澤氏がこれまで培ってきた経験と、その時々に下した経営判断の背景を本音で語っていただきます。あわせて、AIの進展により大きく変化する事業創出の手法やスピードを踏まえ、新たな事業機会をどう捉え、どう意思決定につなげるかについても議論し、経営者の皆さまに実践的なヒントを提供できればと思います。

なお、本ラウンジは事前登録制です。ご多忙の折とは存じますが、業界の未来を切り拓く経営者の方々の参加を心よりお待ちしております。

【経営者限定ラウンジ開催概要】
開催日時:2026年7月8日(水)17時30分~18時30分(17時00分 受付開始)
会場:日本オラクル株式会社 本社(東京・外苑前)
形式:経営者・役員限定
参加費:無料(事前登録制)

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