世界を元気にする日本人の誇りを持つ熱き挑戦者たちリレー対談 日本の将来はあなたによって創られる! <第9回>先人が命を賭してつないできたバトンを、次の世代に苦しい形で渡すわけにはいかない。

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公開経営指導協会の理事長・喜多村豊氏が世界を元気にする挑戦者たちを迎え、日本の将来について語り合うリレー対談。第9回目は、26歳の経営者、株式会社PeopleX Japanの宮脇悠介さんをお迎えし、創業時の熱い想いや今後のビジョンについて伺いました。

目次

稲盛和夫氏の本との出会いが、経営者をめざすきっかけに

喜多村:宮脇さんが代表を務める株式会社PeopleX Japanは、企業の採用業務をサポートする会社とのことですが、青山学院大学在学中にHR(Human Resources)ベンチャーとして起業されたんですよね? その経緯をお聞かせいただけますでしょうか。

宮脇:僕は小学生の頃からサッカーに打ち込んでいて、実はプロを目指していたんです。ただ、強豪校に進学した際、周りのレベルの高さに圧倒されまして。その中でも何とか上を目指そうと、誰よりも朝早くからボールを蹴っていました。「自主練の鬼」なんてあだ名をつけられましたね。当時は起業など考えもしませんでしたが、いろいろ考えた末にプロ選手を諦める決断をして、青山学院大学に入学したんです。

喜多村:なるほど。僕も子供の頃、野球でプロを目指して早稲田実業に入ったから分かるんだけど、人の10倍練習しても敵わないと思うと、逆に相手を認められるんだよね。言い訳をせずに諦め切れたのも、きっとそれだけ本気でやってきたからじゃないかな。

宮脇:それはありますね。ただ、目標がなくなって、しばらくはつまらない学生生活を送っていました。そこでたまたま経営学の授業で稲盛和夫さんの本と出会いまして。

喜多村:そうだったんだ。稲盛さんの本はどんな影響を与えたんでしょうか?

宮脇:自分の父親はJALで働いているんですが、JALは2010年に1度経営破綻してますよね。稲盛さんの本のことを父親に話したら「稲盛さんがJALを救ってくれたんだぞ」と言うんです。「それがなかったら、お前はサッカーにも打ち込めなかったし大学にも行けなかった」と。その時に「この稲盛さんが自分の人生を救ってくれたんだ」と感銘を受けまして、自分も誰かを助けられるような経営者にならなくてはと思ったんですよね。長期インターン先で法人営業や、新規事業責任者、採用責任者などやっており事業を作るイメージは学生時代から持ってました。

喜多村:すごく純粋な気持ちだなと思って今の話を聞いてたんだけど、学生時代に仕事していたというのは大きいですね。座学だけでは起業するという発想にはなかなか至らないと思います。どんな思いや考えで今の会社を創業されたんでしょうか。

宮脇:僕は日本という国やその歴史が好きなのですが、坂本龍馬のような人物や、第二次大戦で特攻隊として戦った方々のように、命を賭けて時代をつないでくれた人たち人たくさんいますよね。例えば知覧の特攻隊の方々の残した手紙を読むと「日本の未来が豊かであることを願う」という強い思いが伝わってくる。

それほど命を賭けて時代をつないでくれたのに、僕ら世代がそれにあぐらをかいて、次の世代が苦しむようなバトンを渡してしまったらダサいなって。とくに今の時代、人口が少なくなっている中で僕ら世代が日本を活気づけるには、どのように生産性を高められるか。それが重要な課題だと思ったんです。

喜多村:それはすごいな。僕は父親が54歳の時の子供だったから、子供の頃から戦争の話を聞かされていたし、よく分かるのですが……宮脇さん、26歳ですよね? 周りでそんな話する友達いるの?

宮脇:いや、正直、僕だけ浮いてます(笑)。

生産性向上のカギは、働く人の価値を最大化していくこと

喜多村:今、生産性という言葉もありましたが、会社の事業について詳しくお聞かせいただけますでしょうか。

宮脇:採用や組織の悩みがボトルネックになって事業が伸びないという会社さんをサポートしています。「採用を成功させる」ということがどういうことかと言いますと、事業に必要な人を採ることはもちろんですが、すべての職種は業績につながっていますから、採用によって業績が伸びないといけません。事業から逆算し、業績を伸ばせる人をどう集め、その人たちを組織としてどう生かし、事業に還元していくか。その設計をさせて頂いています。

喜多村:もともと日本のGDPは、サービス残業など長時間労働に支えられてきた面がありますが、ワークライフバランスが求められている今、労働時間を短くすれば、当然、生産性は落ちますよね。業績を上げられる人財は、これからの日本にとって非常に大事になってくると思います。御社では、そうした人財の活用方法までをサポートしているんですか?

宮脇:はい。今は100ある仕事に対して100をまかなうだけの人を確保するのが難しい時代です。その100の仕事に対して人を確保していくことだけでは持続可能性がありませんが、僕らはそこに対して100ある仕事をどう70,50,30と減らしていけるかも考えています。1人あたりの仕事の価値を上げることが重要です。日本は内製にこだわる文化がありますが、社員の多くは自分でなくてもいい仕事にかなりの時間を取られているものです。

仕事が100あるとしたら、その比重をその人にしかできない仕事に寄せ、それ以外の作業をAIやRPAを使って自動化したり、アウトソースする。そうして人の価値を最大化していくようなサービスも今後さらに仕掛けていきます。

喜多村:自動化を効果的に行うには、その前に一度アナログで整理することも必要になりますよね。棚卸しをして、人の判断が必要な仕事とそうでない作業とに振り分けてから適材適所で効率化を図っていくという。

宮脇:まさにおっしゃる通りです。昨今、AIやDXという言葉が一人歩きしていますが、それ以前に足元でどういうフローが行われているか、この業務は誰に対してどのくらいの頻度で発生しているのかを可視化することが必要なんです。私たちはそういった棚卸しから見ていきますね。

喜多村:自動化するためのシステムも提供するのですか?

宮脇:もちろん、我々自身も時間あたりの価値を上げるために自社で業務自動化サービスを開発していますし、他社様の効率化サービスも積極的に活用しています。今後自社製品、他社製品を組み合わせてこの様な効率化ソリューションを数多く生み出していければと思います。これはさっきの100ある仕事をどう削るかと言う選択肢を多く提供できる点で、これが弊社の1つの強みです。

一方、業務成果をどう最大化するかの選択肢を多く提供できる言う点が我々のもう1つの強みでして、例えば基本的に企業の採用担当者は、基本的に自分たちの会社の採用しか行わないじゃないですか。転職して経験したとしても3-5社くらい。僕らは100社以上の採用を推進してきましたので、N100 のナレッジの蓄積があるので、担当者様が導き出せない打ち手をご提案することが可能です。

喜多村:採用するときはどのように人を引っ張ってくるんですか?

宮脇:媒体やSNSを活用したり、社員さんのつながりから引っ張ってくる仕組みを作ったり、ヘッドハンティングすることもありますし、さまざまです。いずれにしても採用の要点は、業績を伸ばすためにどんな人が必要かという『人材要件定義』、それと人を集める『マーケティング』、接点を持ってからどう入社までカゴ落ちさせないかという『セールス』、バイアスにとらわれず適切な見極めをする『フィルタリング』のこの4つです。この4つの論点を落とさずに、定数と変数を見極めて全体をバランスを持ってプロジェクト設計できるかが大事です。

もっと言うと人材要件定義は立てた時点のベストプラクティスなわけで、現場に入れた後にやっぱりこう言う人の方が活躍するという新しい発見はあるはずなので、本来は採用した人の入社後の動きを見ながら人材要件定義を修正するというPDCAをデータに基づいて回し続けなければなりません。そこまでやらないと本質的な採用はできないと思うんですよ。

日本の生産性を上げる、インフラのような存在になりたい

喜多村:今、売り上げはどのくらいですか?

宮脇:今期は予測で5000万くらいです。直近では東証プライムの上場企業さんからも決まっている案件がありますし、来季は1億5000万くらいに伸びるという手応えを感じています。

喜多村:それだけ実績を上げて来られたということですね。

宮脇:そうですね。顕著な例で言いますと、とある物流企業のお客様では新卒採用をやらせて頂きましたが、初年度で人材紹介の1/2のコストで11人を採用し、そこで採用した新卒の子が2年目で6億の売り上げを上げたという実績もあり、こういった事例が日々多く寄せられています。かなり手応えを感じています。

喜多村:大手コンサルの競合もいると思いますが、何か意識されてることはあるんですか?

宮脇:ありますね。大手ファームの方々はすごくリスペクトしています。ただ、コンサルティング業界は人月商売で、プロセスに対して対価を得るのが一般的なんですよね。そこを結果にコミットする形にできれば、今後ゲームチェンジが起こると思うんです。戦略を描くだけだと、それが本当に成果の出ることなのか分からない状態で回していることになります。僕らは成果の出るところまで伴走するので、再現性のあるノウハウが溜まっていく。大手さんが1人月1社のところ、5社を1人で担当することもできます。

喜多村: 今、社員が15人でしたっけ? 結果にコミットできれば、少ない数でも十分強みを発揮できるわけですね。

宮脇:大手ファームさんはたくさん社員を抱えているじゃないですか。日本は労働規制が強いので、AIを活用して自動化するにしても、簡単に人を解雇することはできません。僕らのような後発が、最初からAI活用を前提に組織を作れるのは強みだと思いますね。

喜多村: 宮脇さんは、この先、どんなビジョンをお持ちですか?

宮脇:日本の生産性を上げるためのインフラのような存在になりたいと思っていまして……日本の人口減少は逃れられない未来なので、きっと日本の経済を何とかしなきゃと考えている人は生産性に着目していると思います。

喜多村:ちなみに宮脇さんのような若い経営者から見て、これからどんな業種が伸びていくと思いますか?

宮脇:業種というよりキーワードなのですが、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)がカギになると思っています。先ほど言ったように、皆さん、本来やらなくていいのにやらされてる業務の時間がある。会社単位で、誰がどの業務に何時間かけているのかを可視化して、本来やるべき業務に向かわせるのがBPRの概念でして、AIもその手段だと思うんです。

喜多村:なるほど。それってマネジメントのところなんだよね。マネージャーと言われる立場の人がそれをしっかりできるかどうか。我々の公開経営指導協会でもそこは重要視しているのですが、マネジメントを教えていくというのは難しいんですよね。

宮脇:まさにその通りです。ベンチャー企業でミドルマネージャーが足りないというのはよくある課題ですし、難しいと思いますね。

喜多村:最後に、これは対談する皆さんにお聞きしているのですが、これからの時代、どんな人財が求められると思いますか?

宮脇:結果にこだわってストイックになれる、それでいて広く利他の精神を持てる人です。どんどん社会は幸福になっていると思うんですが幸福が故に社会から求められる個人への負荷が下がっていて、社会全体がぬるま湯化してきているなと強く感じています。

日本は現在進行形で労働人口が減っておりますので、国が衰退しないようにみんなで歯を食いしばって頑張らないといけないフェーズであり、ぬくぬくしている場合じゃないと思うんですよね。そうでないと我々は後世の歴史家から甘い汁だけ吸って、国の衰退を指を咥えて見守った世代だと後ろ指を刺されかねません。だからこそ改めて社会を引き締め直すような結果にこだわってストイックになれる人が今求められると思います。

でも社会は互いの存在があって成り立っていると思うので、結果を求めるベクトルが自分を利するだけではなく、社会全体をどう利することができるのかという視点をもてる人。そういった人が今後の日本をつくっていくと思います。

◆宮脇悠介 (みやわき ゆうすけ)
株式会社PeopleX Japan(ピープレックス・ジャパン)代表取締役

株式会社PeopleX Japan
所在地:東京都台東区下谷3-10-11 NYビル6F
URL: https://peoplexjp.com/

◆喜多村豊(きたむら ゆたか)
一般社団法人 公開経営指導協会 理事長
株式会社ティーケートラックス 代表取締役社長
学校法人早稲田実業学校 評議員理事・校友会副会長

一般社団法人 公開経営指導協会
所在地:東京都中央区銀座2-10-18 東京都中小企業会館内
URL: https://www.jcinet.or.jp/

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