【目黒教授のワンポイント防災講座 vol.7】適切な災害対策を行うための条件とは?

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日本全国地震列島。日本は、いつどこで地震が起こるか分からない地域。東京などの都市圏はもちろん、中山間地域においても、住人はいつも地震に備えておかなければ、自分や家族の生命、財産は守れません。

そこで、日本の防災の権威、目黒教授がご指南。連載第7回目は、「適切な災害対策を行うための条件はありますか?」。

目黒教授 次の3つの条件を満足する必要があります。

1.二つの敵を知る
2.三つの己を知る
3.災害イマジネーションを持つ

1の二つの敵とは前回の記事(【目黒教授のワンポイント防災講座 vol.6】インプットとアウトプットの関係。災害が発生するメカニズムとは?)でお伝えしたインプット・システム・アウトプットにおけるインプットの「ハザード」とアウトプットの「災害」です。

2の三つの己とは、システムにあたる「地域特性」、「自分が所属している行政」、そして「自身の力」です。

3の災害イマジネーションとは、ハザードが襲ってきた時点からの時間経過に伴って、自分のまわりに発生する状況を正しく想像する力です。人間は、自分が想像できない状況に対して、適切に備えたり、対応したりすることは絶対にできないので、この能力が不可欠なのです。

上記の1~3が分かれば、現在そして将来の課題が分かるので、その課題の改善策を適切なタイミングで実施していくことで効果的な災害対策が実現できるのですが、ここで長さの異なる2つの物差しが重要になります。一つは大きな空間と長い時間を測る長い物差しで、あるべき方向性を示すものです。もう一つは短い物差しで、これは具体的に何をすべきかわからない人に、具体的なアクションとその効果を示すものです。しかし、短い物差しによる対策は局所最適解で、繰り返していくと全体最適解から乖離していくことが多いので、2本の物差しをバランスよく使うことが重要なのです。(次回に続く)

目黒公郎プロフィール
東京大学大学院情報学環長・教授。専門は総合災害管理、国際防災戦略。内閣府本府参与、多数の省庁の防災委員、日本地震工学会、地域安全学会、日本自然災害学会などの会長を歴任。防災功労者内閣総理大臣表彰などを受賞。

●目黒教授のラジオ連載「みんなのサンデー防災」は、各種の災害がもたらす被害の最小化と、災害時を被災地地域の課題を解決する機会として活用し、発災以前よりもいい地域に改善するために必聴の番組。毎週日曜14時〜全国コミュニティFMで放送中。詳しくは「みんなのサンデー防災」で検索してみてください。

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