日本全国地震列島。日本は、いつどこで地震が起こるか分からない地域。東京などの都市圏はもちろん、中山間地域においても、住人はいつも地震に備えておかなければ、自分や家族の生命、財産は守れません。
そこで、日本の防災の権威、目黒教授がご指南。連載第5回目は、「防災で一番大事なことって何ですか?」
目黒教授 国土を護ることも財産を守ることも当然重要ですが、やっぱり命が一番大事だと思います。被災地でインタビュー調査やアンケート調査などをすると、水を確保しておけば良かったとか、トイレや避難所の準備をもっとしておけば良かったなどの声がよく聞かれます。これらはもちろん重要ですが、全て生き残った人たちの声なのです。もし亡くなった人にインタビューできるとすれば、あるいは、あなたが災害で亡くなった人だったとすれば、何を最も重要な教訓として、生き残った大切な家族や仲間に言い残すと思いますか? 「自分は、地震で家が壊れてその下敷きになって死んだ。まず、地震で壊れない家を確保しろ」というのではないでしょうか? これが最大の教訓であり、「声なき声を聞くこと」が大切なのです。(次回に続く)
●目黒公郎プロフィール
東京大学大学院情報学環長・教授。専門は総合災害管理、国際防災戦略。内閣府本府参与、多数の省庁の防災委員、日本地震工学会、地域安全学会、日本自然災害学会などの会長を歴任。防災功労者内閣総理大臣表彰などを受賞。
●目黒教授のラジオ連載「みんなのサンデー防災」は、各種の災害がもたらす被害の最小化と、災害時を被災地地域の課題を解決する機会として活用し、発災以前よりもいい地域に改善するために必聴の番組。毎週日曜14時〜全国コミュニティFMで放送中。詳しくは「みんなのサンデー防災」で検索してみてください。
