日本全国地震列島。日本は、いつどこで地震が起こるか分からない地域。東京などの都市圏はもちろん、中山間地域においても、住人はいつも地震に備えておかなければ、自分や家族の生命、財産は守れません。
そこで、日本の防災の権威、目黒教授がご指南。連載第9回目は、「災害におけるアウトプットって何ですか?」。
目黒教授 インプットである台風や地震がどこかの場所を襲うと、その地域内ではさまざまな物理現象や社会現象が発生します。これらの現象が「アウトプット」です。このアウトプットがある限界値を超えて、地域の人たちにとって問題になるような状況になった場合に、その物理現象や社会現象を「被害」や「災害」と呼びます。
具体的には、直後には物理現象としての建物の破損や浸水などから始まって、その後には社会現象としての避難や復旧・復興、そして関東大震災など本当に甚大な災害の場合には、長期的な経済活動や外交を含めた政治活動にまで大きな影響を及ぼします。一般的には、直後の物理的な被害に注目が集まりがちですが、「災害現象」の多くは社会現象であることに対する理解も重要です。(次回に続く)
●目黒公郎プロフィール
東京大学大学院情報学環長・教授。専門は総合災害管理、国際防災戦略。内閣府本府参与、多数の省庁の防災委員、日本地震工学会、地域安全学会、日本自然災害学会などの会長を歴任。防災功労者内閣総理大臣表彰などを受賞。
●目黒教授のラジオ連載「みんなのサンデー防災」は、各種の災害がもたらす被害の最小化と、災害時を被災地地域の課題を解決する機会として活用し、発災以前よりもいい地域に改善するために必聴の番組。毎週日曜14時〜全国コミュニティFMで放送中。詳しくは「みんなのサンデー防災」で検索してみてください。
