手紙に名刺に香りづけ! ルーツは平安時代 ビジネスにも活かせる「文香」のすすめ

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スマホケースに挟んで使う女性も

 洋服に香りをつけたり、虫食いから守ったりするために、たんすやクローゼットに入れておくと便利な匂い袋。日本におけるルーツは古く、仏教とともに日本に伝わってきたと言われています。その後、平安時代に宮廷人のあいだで人気となり、江戸時代に庶民に広まりました。そんな匂い袋の種類のひとつに、手紙や封書、便せんなどの「文」に香りを添える、「文香(ふみこう)」というものがあります。

アナログの手紙に香りを添えるのが「文香」(画像:写真AC)

 文香は、お香を紙に包んだものです。約20年前から文香を販売しているお香の老舗専門店・東京鳩居堂(きゅうきょどう、中央区銀座)では現在、オリジナル商品として「花の文香」と「花ふみか」の2種類をラインアップしています。お香を包む和紙のバリエーションが豊富で、「花の文香」には16パターン、「花ふみか」には10パターンの柄があります。

東京鳩居堂が販売する文香商品(画像:東京鳩居堂)

「Eメールなどの普及で、手紙などを書く人は少なくなりましたが、財布や名刺入れのなかに文香を入れて持ち運ぶ人は増えています。購入者は女性が圧倒的に多く、若い女性のなかでは、スマートフォンのケースに挟んで使っている人もいます」(東京鳩居堂)

上から、中川政七商店の販売する文香「文香 奈良」と「絵形香」(画像:中川政七商店)

 全国に直営店を展開する生活雑貨店・中川政七商店(奈良市)が文香を発売したのは、2002(平成14)年のことです。現在は5種類の商品と、「絵形香(えがたこう)」という文香をアレンジした箱入りの商品3種類をラインアップ。「絵形香」は手紙に忍ばせるだけでなく、机や棚の上に立てて飾っておけるようなデザインになっています。

「当社では、歳時記に応じた季節を感じられるものや、飾ったり、しおりにしたりと多用途なものが増えています」(中川政七商店)

お香には自律神経を整える効果が

 そんな文香ですが、そのなかに入っているお香にはどのような効果があるのでしょうか。お香教室などを開催するCOU(中央区銀座)代表の如月香未(きさらぎ・こうみ)さんは、東京で日々仕事に追われている人にこそ、お香は役に立つといいます。

「JAPANお香エッセンス協会」代表も務める如月香未さん(画像:COU)

「人間の脳には右脳と左脳があり、右脳は感覚や直感、左脳は論理や分析を担当しています。東京で働く人たちは仕事上、左脳を多くを使っているため、両脳のバランスが取れていません。お香はこのバランスを整えて、直感力を取り戻す効果があるとされています。

 香りを感じる嗅覚は、人間が持っている五感のうち唯一、脳(大脳辺縁系)に直接到達する感覚です。大脳辺縁系は、喜怒哀楽などの感情や自律神経に関係するため、お香には、これらを整える効果もあるのです」(如月さん)

香りのついたワンランク上の名刺にも

 このような効果のほか、お香の入った文香はビジネスパーソンとしての「印象づけ」に使えるといいます。

「名刺に香りがついていれば、相手との会話が生まれ、コミュニケーションにつながります。また、相手が別の機会に名刺と同じ香りを嗅いだとき、自分のことを思い出してくれる効果もあります。デジタル化が進んで、名刺が簡単に捨てられてしまうような時代だからこそ、ワンランク上のツールとして文香を使うのも、ビジネスパーソンとしてひとつの作戦といえるかもしれません」(如月さん)

 歴史ある文香が最先端のビジネスシーンに活きる、そんな日も遠くないのかも知れませんね。

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