2023年7月15日、浅草と東武日光・鬼怒川温泉を結ぶ東武鉄道の新型特急「スペーシア Ｘ」が、ついに運行を開始。東武鉄道が33年ぶりに投入するフラッグシップ車両は、モノトーンのお洒落な外観や多彩なシートが話題となり、早くも予約が殺到しています。今夏は日光・鬼怒川への旅がますます楽しくなりそうです！
自分に合った移動の楽しみが実現する新型特急
日光・鬼怒川といえば、世界遺産の日光東照宮をはじめとする歴史的建築物や、風光明媚な関東の奥座敷、鬼怒川温泉で知られる国内屈指の観光地。
東京からわずか2時間でアクセスでき、大自然の絶景や湿原・湖沼でのアクティビティも楽しめることから、近年では海外からの旅行者やアウトドアファンにも愛される人気エリアです。
その日光・鬼怒川と東京を結び、およそ100年もの間、思い出とともに乗客を運んできたのが東武鉄道です。
東武日光線には、高度経済成長期の1960年代にはビュッフェやラウンジを備えた「デラックスロマンスカー」が、心の豊かさが求められた1990年にはシートピッチの広さや走行時の快適さも魅力の「スペーシア」が登場。その時代を反映した“こだわり”の特急車両が人気を博してきました。
そして今年7月、「スペーシア」の系譜を継ぐフラッグシップ特急としてデビューを飾るのが「スペーシア Ｘ」です。
「スペーシア Ｘ」のコンセプトのひとつに挙げられるのは、サステナブルな特急であること。
東武グループは日光・鬼怒川エリアを「歴史・文化・伝統と自然が共生する国際エコリゾート」と位置付けており、東武日光線 ・東武鬼怒川線 で運行する電車や駅・施設などで使用する電力相当についてカーボンニュートラル化を進め、環境負荷を軽減するための観光サービス「NIKKO MaaS（日光マース）」の導入を図っています。「スペーシア Ｘ」もまた旧スペーシアに比べ、CO2排出量を最大40％削減する設計となっています。
さらに「スペーシア Ｘ」の最大の特徴は、全6種類ものシートが用意された車両であること。これは多様化する価値観や生活スタイルに合わせ、乗客により多くの選択肢を提供するものです。
「今日は出張だからスタンダードシートにしよう、今日は家族旅行だから奮発して個室にしよう、ビールを飲みながら旅したいからラウンジを取ろう、といったように、今回の『スペーシア Ｘ』は1度乗って満足してもらうのではなく、何度も楽しんでいただける新型特急です」
そう語るのは、東武鉄道・営業部 営業企画推進課の岩出透さん。(以下、東武鉄道 岩出さん)
みなスマホは持っているけれどそれぞれが違ったアプリを入れているように、これからは自分が選びたいサービスを自発的に選んでいく時代。「スペーシア Ｘ」は、まさに、その時々で自分に合った移動の楽しみを与えてくれます。
ひとり旅もファミリーもグループも！楽しみ方は無限大
「スペーシア Ｘ」は、評判の高かった旧スペーシアと同様、スタンダードシートでもシートピッチが110cm。十分な足元のゆとりが確保されています。
また、シート1列に対して必ず1つの個窓が配置されるよう設計されており、窓枠に邪魔されることなく車窓風景が楽しめます。座席の背面テーブルだけでなく、肘掛に鹿沼組子をイメージした六角形の小テーブルも格納されるなど、機能性も抜群です。
プレミアムシートとなると座席も1列・2列の並びとなり、東武鉄道初の電動リクライニングを採用。座面が前にずれる「バックシェル構造」なので、後席を気にすることなく思いっきりリクライニングできるのがうれしいですね。
旧スペーシアで対面配置だったコンパートメント（個室）は「コの字」型になり、大人4人がゆったりくつろげる空間へと進化しました。テーブルはワイドに拡張できる折りたたみ式で、飲み物や食べ物を持ち込んで、ワイワイ楽しむのにもうってつけ。
「他の席に迷惑のかからない完全個室ですので、お子さま連れでの電車旅行をちゅうちょされているファミリー層にも、ぜひ気兼ねなく使っていただきたいです」（東武鉄道 岩出さん）
「個室を使うほどでもないけれど、多少のプライベート空間は確保したい」という方には、2シートを対面に配し、パーテーションで囲った「ボックスシート」がおすすめ。カップルや夫婦での旅行はもちろん、座面横幅が80cmもあるため、パパ・ママが未就学児を横に座らせても十分に余裕があります。
そして「スペーシア Ｘ」の6号車、運転席の真後ろに位置する最上級シートが、「コックピットスイート」です。その広さは私鉄特急最大級の11平方メートル！ 広々とした窓からの展望を楽しみながら上質な旅のひとときを過ごせる、まるでプライベートジェットのような空間です。
「最大定員が7名ですので、例えばおじいちゃんおばあちゃんの記念日やお子さまの入学祝いのようなハレの日には、三世代でご利用いただきたいですね。もちろん、個室やコックピットスイートは、特別座席料金をお支払いいただければその空間をご利用いただけますので、極端な話、1名さまでも2名さまでも、何か大事な記念にしたいときにぜいたくに使うことも可能です」（東武鉄道 岩出さん）
「スペーシア Ｘ」はバリアフリーも新基準に完全対応。5号車にはストレッチャー式の車椅子や大型の車椅子の方も利用できるスペースが確保されています。また、大型の荷物をお手持ちのICカードでワイヤーロックできる荷物置き場もデッキに備えられるなど、誰もが安心・快適に利用できる最新設備が満載です。
「スペーシア Ｘ」に乗れば、旅気分が上がること間違いなし！
さらにコックピットスイートの反対側の1号車では、これまた旅の高揚感を高めてくれるカフェカウンターがお出迎え。カウンターの先には日光金谷ホテルや各国の大使館別荘をモチーフにした「コックピットラウンジ」が広がり、1人あたりに換算するとスタンダードシート特急料金に200円の追加料金で席を予約することが可能です。
カフェでは「Nikko Brewing（ニッコウ ブルーイング）」の限定クラフトビールや「日光珈琲」のクラフトコーヒーをはじめ、日光の地元店舗と共同開発した前菜やスイーツなどを提供しています。日光の味覚をラウンジで楽しみながら目的地へ向かうのもオツなもの。ラウンジは全20席、4人用・2人用・1人用と多彩な旅のスタイルに合わせたソファーが用意されており、運転席の真後ろに位置する1人掛けソファーは、車窓と運転席を真後ろから独占して眺めることが出来る鉄道好きにはきっとたまらない“かぶりつき席”となっています。
観光シーズンともなると豪華な食事を提供するような、いわゆる“観光列車”が各地で不定期に運行されますが、この「スペーシア Ｘ」は月〜水曜2往復、木〜日曜・祝日は4往復、毎日運行するのが特徴です。
東京から2時間で行けるリゾートだからこそ、本格的なグルメは現地での楽しみとして取っておき、車内ではドリンクや軽食で旅の気分を上げる。上質な旅を気負うことなく体験できるのは「スペーシア Ｘ」ならではの魅力と言えるでしょう。
「歴史ある観光地として知られる日光ですが、近年はおしゃれな店舗もたくさん増えていますし、夜には間近に広がる美しい星空も。若い方々が何の予備知識なく訪れても十分楽しめると思いますよ」と東武鉄道 岩出さん。
「夏であれば、天然氷で作られたふわっふわのかき氷も絶品です。日光は、採氷池に天然水を流し込み、冬の寒さで凍らせる天然氷の産地としても有名ですから」（岩出さん）
この夏は、まだ見ぬ日光に出会う旅へ。初めての方も、再訪の方も、「スペーシア Ｘ」で日光・鬼怒川の魅力を再発見してみませんか？
◆スペーシア Ｘの運行詳細
運行開始日：2023年7月15日（土）
浅草～東武日光・鬼怒川温泉駅間を毎日２往復運行し、木・金・土休日には４往復を運行
◆特急券の発売
乗車日の1カ月前の9時より発売
発売箇所
・インターネット
特急チケットレスサービス、特急券インターネット購入・予約サービス
・駅窓口または駅券売機
東武線各駅（押上、みなみ寄居、寄居、無人駅除く）
・旅行会社
東武トップツアーズ、その他主要代理店
※スペーシア Ｘの車内および乗車直前のホーム上で発売する特急券は、スタンダードシート特急料金またはプレミアムシート特急料金に加え、大人小児とも一律200円が加算されます
◆座席詳細
座席総数：212席
スタンダードシート：130席
プレミアムシート：35席
コックピットラウンジ：20席
ボックスシート：4席（定員2名×2室）
コンパートメント：16席（定員4名×4室）
コックピットスイート：7席（定員7名×1室）
