居酒屋激戦区新宿に新風を巻き起こす! 「炭火串焼きあんど」が新規出店をした理由

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コロナ禍で外食需要が冷え込むなか、歌舞伎町で3軒の居酒屋を開業したA-GROUP HOLDINGS。なぜ今、新たな開業に踏み切ったのでしょうか。代表取締役の宮田康司さんに話を聞きました。

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仕掛け人は歌舞伎町を知り尽くす男

 日本国内は言うに及ばず、世界的にも屈指の規模を誇る繁華街として知られる新宿・歌舞伎町。数多の飲食店がしのぎを削るこの界隈で、コロナ禍にもかかわらず新規出店を進めるのが「あんど」ブランドの居酒屋を展開するA-GROUP HOLDINGSです。

 1軒目の「あんど新宿本店」は、創作和食を楽しめる店として2021年3月に開業。続いて8月には「炭火串焼きダイニング あんど新宿」をオープン。いずれも東新宿駅が最寄りの立地で、歌舞伎町では比較的落ち着いたエリアにあります。

 代表取締役の宮田康司さんは、歌舞伎町で20年以上仕事を続けてきた人。これまでも別業態のレストラン経営などに関わってきました。コロナ禍という飲食店には逆風が吹く時期に、なぜあえて店を開くのか。それは「歌舞伎町のことを知り尽くしているからこそ」と宮田さんは言います。

A-GROUP HOLDING株式会社 代表取締役の宮田康司さん(画像提供:A-GROUP HOLDINGS)

「コロナ禍で、あれだけにぎわっていた街の勢いがすっかりなくなってしまいました。飲食店が思うように営業できないのですから、当然ですね。そのあおりで解雇される従業員もたくさんいました。働きたいのに働く場所がない。そんな料理人の声が自分の耳に入ってくるようになりました」(宮田さん)

店を開けば世のため街のためにも

 宮田さんの耳に届いたのは、飲食業界の声だけではありません。歌舞伎町へ遊びに来た人や近隣で働く人が、食べる場所がなくて困っているという話も聞きました。

 「今店を開けば、腕のいい料理人に働く場を提供できる。食事を求めて街に来た人にも、喜んでもらえる。大変なことではあるけれど、きっとビジネスとして成立するはず。しかも、世のため街のためにもなるのではないか。そう考えました」(宮田さん)

 2021年にオープンした2店舗は、厳しい環境にもかかわらず、宮田さんの読み通り売上が順調に推移。経営は軌道に乗りました。そして2022年4月に満を持してオープンしたのが、3軒目の「炭火串焼きあんど」。場所は靖国通りと新宿東宝ビルを結ぶ歌舞伎町のメインストリート、ゴジラ通り。居酒屋が軒を連ねる、超激戦区です。

 この場所で開業するにあたり、いくつか戦略を考えたという宮田さん。まず空間についてはカウンターとテーブル席を設けつつ、それ以上の席数を個室にしました。「ここは居酒屋激戦区ですけれど、多くはチェーン店。それらと一線を画するべく、ゆったりと居心地のいい空間になるよう心がけました」(宮田さん)

(画像提供:A-GROUP HOLDINGS)
個室は全6部屋。ふすまを外せば20名まで対応できる(画像提供:A-GROUP HOLDINGS)

 看板メニューは鶏の串焼きです。しかし開業前にメニューを決める際、スタッフからは反対されたそう。「串焼きは仕込みがとても大変ですからね。でも、人がやりたくないことや、家では食べられないものを提供するのが外食の大事な役目だと思ってます」(宮田さん)

目指すのは歌舞伎町にありそうでなかった店

 歌舞伎町は、昔ながらの赤ちょうちんや大手焼き鳥店が乱立する街。同じ業種の串焼きで、どう差別化をするのでしょうか。

 「焼き鳥以外にも当てはまりますが、歌舞伎町は安く気軽に飲める店と高級店に二極化しています。つまり、チェーン店より多少単価は高くても、素材や技術にこだわり、ちゃんとおいしい料理を出す店が意外に少ないんです。狙うのはそこ。自分も含め、そんな店を求めている人はたくさんいると思っています」(宮田さん)

 国産の銘柄鶏「日南どり」を備長炭で焼く、本格派の串焼き。にもかかわらず1本180円~という価格設定で、個室完備のモダンな店構え。確かに、歌舞伎町にはありそうでないスタイルかもしれません。

1本1本丁寧に仕込みをされた串焼き(画像提供:A-GROUP HOLDINGS)

 串焼き以外のメニューからも、料理への本気度が伝わってきます。料理長は、長年フレンチの世界で活躍してきた峰康進さん。新たに身につけた串焼きの技も「大事なのは炭との対話ですから」とベテランの余裕を感じさせます。

料理長の峰康進さん(画像提供:A-GROUP HOLDINGS)

 一品料理はだし巻き卵や梅水晶など居酒屋の定番を押さえつつ、峰さんのキャリアを生かしたアレンジメニューもそろいます。例えば、白レバー刺し。フレンチの技法である超低温調理で火入れした白レバーは、まるで刺し身のような食感に。ほかにも「鴨モモ肉の瞬間燻製」、「カリフラワーのアンチョビパルミジャーノ」など、バルのような料理を楽しむことができます。

写真映えがする「鴨モモ肉の瞬間燻製」1,500円(画像提供:A-GROUP HOLDINGS)

 「ティラミスやフロマージュブランなど、デザートも手作り。女性にも満足していただけるよう、串焼き以外にも力を入れています」と峰さん。新しいメニューのアイデアは、まだまだたくさんあるそうです。

世代を選ばない雰囲気も魅力

 オープンして約10カ月、今はどのようなお客さまが多いのでしょうか。「若い層から年配の方まで、幅広くご利用いただいています」というのは、店長の中西一気さん。白木のテーブルや和紙のテーブルマットなど、和を基調にしながらモダンな店内は年代を選ばない雰囲気。

 「最大6部屋になる個室は、室料なしでご利用いただけます。丁寧なサービスでおもてなしすることを何よりも心がけています」と中西さん。

店長の中西一気さん(画像提供:A-GROUP HOLDINGS)

 まだ表立った宣伝もしていないため、知る人ぞ知る穴場的存在である「炭火串焼きあんど」。これまでにないスタイルで歌舞伎町に新たな風を巻き起こすのは、時間の問題かもしれません。

炭火串焼きあんど
住所:東京都新宿区歌舞伎町1-18-9 WaMall歌舞伎町 3F
TEL:03-6380-3960
営業時間:18時〜24時(フードL.O 23:00)
※金・土18時~翌5時(フードL.O 4:00)
定休日:なし
アクセス:JR・都営大江戸線・東京メトロ丸ノ内線 新宿駅より徒歩3分
西武新宿線 西武新宿駅より徒歩3分
京王線・小田急線・都営新宿線 新宿駅より徒歩4分

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